2020 Fiscal Year Research-status Report
地域防災・減災のための「やさしい日本語」の教育と普及に関する研究
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17K12613
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
轟木 靖子 香川大学, 教育学部, 教授 (30271084)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 直子 香川大学, 教育学部, 教授 (30314892)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | やさしい日本語 / 外国人住民 / 防災 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は本研究の最終年度であり、昨年度までの研究成果を生かし、外国人住民に向けたわかりやすい防災に関する案内の作成と、一般の日本人を対象とした「やさしい日本語」の研修会を予定していた。しかし、新型コロナウィルス感染症の観戦拡大のため、当初予定していた形では実施するのが難しくなった。 大学で授業のほとんどが遠隔対応となったため、実際に防災関係の情報を「やさしい日本語」を使ってなおしてもらうのをそばで観察することができなかった。そこで、防災に関する意識の違いを探る目的で、地震や防災に関する知識を問うアンケート調査をオンラインで実施し、日本人住民と外国人住民の相違点について分析を開始した。防災に関する知識として、日本人と外国人とで差がみられたのは、「地震にそなえて普段からしておくべきこと」と「地震直後の行動」であった。備蓄品については日本人も外国人も意識されていたが、家具の固定については外国人住民にはほとんど知られていなかった。また、地震直後の行動について、日本で長く生活している人でも、「すぐに外に飛び出したくなる」感覚が薄れにくいこともわかった。 以上の内容については、実際にアンケートに回答してもらった人や、一部その内容について意見交換をした際に出て来たものであるが、本研究の成果という形で公にすることができなかった。ただ、数少ない機会ではあったが重要で貴重な意見をきくことができた点では有意義であったと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は本研究の最終年度であり、昨年度までの研究成果を生かし、(1)外国人住民に向けたわかりやすい防災に関する案内の作成と、(2)一般の日本人を対象とした「やさしい日本語」の研修会を予定していた。しかし、新型コロナウィルス感染症の観戦拡大のため、当初予定していた形では実施するのが難しかった。代わりにできることとして、日本人と外国人の間にある防災意識の違い等について分析するため、オンラインでアンケート調査をおこなった。家具の固定や、地震直後に外に飛び出さない、等、日本人であれば共有している知識が外国人住民には理解されにくい点が明らかになったところで、これをどのように示せば日本で生活している外国人にとって受け入れやすい防災対策となるか、というところで行き詰まってしまったように思う。 遠隔での授業やゼミ等、学生と対話する状況に慣れた段階で、防災対策の示し方についてディスカッションをする機会もあった。これをもう少し発展させるかたちで研究成果につなげることができたかと思う。
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Strategy for Future Research Activity |
まだ新型コロナウィルス感染症の感染はおさまっていないが、大学が対面授業を再開していることもあり、感染対策を充分にとることで、できる範囲で、昨年度できなかった調査や制作物の作成等を続けていきたい。本来は地域住民の方に集まっていただき、「やさしい日本語」の講習会等を開く計画であったが、大学に来ている学生を対象にして、本来の趣旨に合うよう、日本語教育について知識がない人に協力してもらう。 また、昨年度実施した防災意識のアンケート調査の結果を生かし、「普段からの備え」と「地震後の行動」に重点を置いた「やさしい日本語」による外国人住民向けの防災情報を示したものを作成する予定である。また、これまでの研究成果の総括として成果報告書を作成し、関係機関等に配布する。
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Causes of Carryover |
当該年度は、研究計画の段階では、一般の日本人を対象とした「やさしい日本語」の研修会や体験をしたもらう機会をもうけることを予定していた。日本語教育の素地のない日本語母語話者にとってどのような点が難しく、どのような工夫が必要か、また外国人にとってのわかりにくさをどのように伝えたらよいかを分析・考察するためである。 しかし、新型コロナウィルス感染症の感染拡大の懸念から、人が集まる機会をもつのは非常に難しくなった。また、学生もほとんどが遠隔授業となったため、実際に目の前で取り組んでもらい、その様子を観察することもできなかった。次年度使用額が生じたのは、当初会議室使用料やそこでの補助をしてもらう学生への謝金を見込んでいたものであり、予定通り実施することができていれば、使うはずであった。 次年度も、引き続き新型ころなウィルス感染症の感染が懸念されるため、一般の人を集まるのは難しくなるが、大学は対面授業が再開されているので、その機会を利用し、主として学生に「やさしい日本語」に取り組んでもらう機会をつくり、計画を遂行する予定である。
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