2018 Fiscal Year Research-status Report
個人差を考慮した脳波分析法を用いた意思伝達BCI構築のための基盤研究
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17K12768
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
伊藤 伸一 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 助教 (90547655)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脳波 / 意思 / 灰色理論 / ノイズ除去 / 感性情報学 / 感性計測評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
意思を司る前頭前野の脳波を対象とし、特別な訓練を必要としない意思を伝達するブレイン・マシン・インタフェースを構築するために、脳波分析の問題点である個人差を考慮した脳波分析法の確立を目指している。個人差は性格分析結果を脳波分析法に導入することで考慮する。また、脳波を頭皮上に到達した電位を計測する技術であるため、脳活動を網羅的に把握することが出来ない。つまり脳活動の情報は欠落した状態で分析をすることになる。申請課題では、その欠落した情報を取り扱うために、統計モデルの一つである灰色理論を適用・応用する。さらに、意思に関する脳波の発生メカニズムは不明瞭である。申請課題では、意思を意味する脳波のパターンを発見し、パターンを分類することで意思を検出するアルゴリズムを構築する。ここでは、機械学習の一つであるサポートベクターマシン適用する。また、脳波は複数の脳活動部位から発生する電位が重なり合って頭皮上で観測される。この場合、不要な電位が混入されることが少なくない。そこで、統計モデルの一つである独立成分分析を用いて、意思検出に必要な脳波を抽出する。また、深層学習などの技術を用いて、不要は情報の削除および必要な情報の抽出を試みる。 上述する手法の確立を目指して、研究を進めている。具体的には、灰色理論を用いることで、脳波分析精度の向上の確認をし、その研究成果を国際学術論文としてまとめた。 すべての被験者の脳波を確認したところ、明らかなノイズである瞬きなどのアーチファクトが混入する場合、混入していないデータと弁別し、処理を実施することで、脳波分析精度の向上が期待できると判断した。そこで、新たな処理アルゴリズムの考案と実験的検証を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度においては、以下の課題に取り組んでいる。 課題:多チャンネル脳波計測によるノイズ除去および意思に関連する脳波の特徴抽出 脳波に含まれるノイズ除去に関する課題を解決する。基盤となる脳波分析法は、これまでの研究と同様に、性格差を考慮したものとする。ここでは、前頭連合野全体の活動を計測し、脳波のノイズ除去および特徴抽出を行ない、聴取音楽に対する「聴く」「聴かない」の意思を検出する。また、意思に関する脳波の分析を実施する。このとき、多段階独立成分分析法を考案し、ノイズ混入を有無を確認し、ノイズの有無によって分析アルゴリズムを変更する手法を実装する。なお、性格の定量化には、これまでの研究と同様に3種類の心理テストを用いる。灰色理論の有効性を検証し、その研究成果をブラッシュアップした結果を学術論文に掲載している。また、多段階独立成分分析法を用いた意思検出において、その研究成果を国際会議論文として掲載している。なお、深層学習の技術を用いて意思・欲求を検出する手法を実装し、その研究成果を国際会議・国際学術論文に投稿しているが、発表には至っておらず、進捗状況が遅れている状態です。現在、発表の準備をしている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度においては、以下に示す項目について明らかにする。 【課題1】多チャンネル脳波計測によるノイズ除去および意思に関連する脳波の特徴抽出 平成30年度に引き続き、考案している層学習を用いて脳波を分析する手法の有用性を検証するとともに、ノイズ除去法の確立を目指す。さらに、実験データを収集する。 【課題2】心理テスト項目の最適化 3 種類の心理テストのすべての項目から、意思に関連する脳波の個人差と深い関連性のある項目を選定する。そして、意思検出BCI構築に有用な心理テスト結果を導入する新たな脳波分析法を確立する。
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Causes of Carryover |
明らかなノイズを含むデータを含まないデータとにおいて、別の処理を施すことで脳波分析精度の向上を図る作業を実施したため、研究成果の報告に遅延が生じ、学会発表にかかる費用に未使用額が生じた。また、被験者の都合による被験者実験の遅延のため、被験者実験にかかる費用に未使用額が生じ、平成31年度に繰り越した。平成31年度において平成30年度に実施予定だった研究成果発表を実施する。
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Research Products
(6 results)