2018 Fiscal Year Research-status Report
臨床の場で行われている経腸栄養剤の半固形化法の問題解析と標準化法の提案
Project/Area Number |
17K12907
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
隅田 有公子 高知県立大学, 健康栄養学部, 助教 (70781897)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 経腸栄養剤 / 半固形化 |
Outline of Annual Research Achievements |
経腸栄養の管理上の問題点に、胃食道逆流、瘻孔部からの栄養剤リーク等があり、これらは、誤嚥性肺炎や瘻孔周囲皮膚炎を誘発させる一因となる。それらの対策として、経腸栄養剤の増粘・ゲル化が一定の効果を示している。しかし、増粘・ゲル化調整食品と経腸栄養剤は多数存在すること、また、測定条件が統一されていないため各種製品間の物性の比較評価は困難であることから、取り扱いには注意が必要である。 本研究では市販の増粘・ゲル化調整食品6種と栄養素組成に特徴のある経腸栄養剤17種を用い、統一した測定条件下で半固形化経腸栄養剤の物性評価を行い、半固形化時のゲル特性を検討した。 デンプン系増粘・ゲル化調整食品による半固形化では、粘度は他の増粘・ゲル化調整食品と比較し、有意に低く、経腸栄養剤に含まれる栄養素量と粘性に相関はなかった。グァーガム系増粘・ゲル化調整食品による半固形化では、経腸栄養剤に含まれる食物繊維量が多くなる程、粘性が低く、粘度は他の増粘・ゲル化調整食品と比較し、有意に高かった。キサンタンガム系増粘・ゲル化調整食品による半固形化では、経腸栄養剤に含まれるたんぱく質量、Na量、K量、Ca量、Mg量、P量が多くなる程、粘性が低く、pH調整剤や塩化カリウムの添加でもこれらは変化しなかった。カラギナン添加キサンタンガム系増粘・ゲル化調整食品による半固形化では、粘度は経腸栄養剤に含まれる脂質量、ミネラル量と正の相関がみられ、他の増粘・ゲル化調整食品と比較し、付着性が低く、TI値が高く構造粘性がある傾向がみられた。 半固形化経腸栄養剤が同粘度であっても、硬さや付着性に相違が認められた。 増粘・ゲル化調整食品の種類、経腸栄養剤が含有する栄養素の含量や種類の違いで生成するゲルの構造が異なることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究を遂行する過程で、物性の測定結果の解析、実験方法の検討に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は得られた結果をもとに経腸栄養剤を半固形化することによる消化・吸収等への影響を検討する。
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Causes of Carryover |
研究遅延による、実験使用物品費の減少等によって生じている。 今後、研究を遂行するにあたり必要となる。 次年度の予算とし、使用予定である。
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Research Products
(2 results)