2017 Fiscal Year Research-status Report
フォトグラメトリによる博物館動物標本の三次元モデル化及び公開方法の模索的研究
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17K12967
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
森 健人 独立行政法人国立科学博物館, 動物研究部, 支援研究員 (70793272)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | フォトグラメトリー / 標本 / 博物館 / 3Dモデル / 3Dプリント / ハンズオン展示 / 写真測量 / エンターテイメント |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで博物館の収蔵標本は概ね科学の発展のために収集されてきたといっても過言ではない。しかし,博物標本は自然物である。自然物の役割は科学的研究活動にのみ限定されるべきなのであろうか。申請者はそうは思わない。芸術,エンターテイメントを含めあらゆる文化的創作活動に対しても自然物たる博物館標本は貢献できる可能性が秘められている。しかしながら,標本の保守管理上の制約から「誰でも」「自由に」博物館の標本にアクセスできる環境を構築するためには膨大なコストが必要となり,ただちにそれを実現することは不可能である。そこで博物館標本の3Dモデルが重要となってくる。3Dモデルを活用すれば,「誰でも」「自由に」閲覧する環境を比較的低コストで整えることができる。また,「博物館標本に自由にアクセスできる環境」に慣れていない一般観覧者に対しても「確実にクリーン」で且つ「損壊の恐れがない」3Dモデルとの接触は良い導入になると考える。 上記を踏まえて,本研究ではフォトグラメトリー(写真測量)を用いて効果的に博物館標本を3Dモデル化する方法を検証し,如何にして公開するかを模索するものである。 博物館標本の3Dモデルを公開する方法として申請者は3種の方法を考えた。1)インターネット上での3Dモデル閲覧サイトの公開,2)3Dプリントを利用した博物館内におけるハンズオン展示,3)3Dプリントを利用した博物館外におけるハンズオン展示。1)についてはYoshimoto3D(β)として国立科学博物館HP上にデータベースを掲載した(http://www.kahaku.go.jp/research/db/zoology/yoshimoto/database/index3D.html)。2)については複数の博物館で試験的に公開を行った。3)については現在「路上博物館」という館外展示を試験的に展開している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究申請当初,本研究は剥製標本の3Dモデル化とその公開方法に限った計画となっていた。しかし,1)剥製標本の3Dモデル化および公開が予想以上に順調に進んだ,2)剥製以外の骨標本等についても未だ3Dモデル作成時に準拠できるテキストが存在しない,3)骨標本の3Dモデルに関する需要が高い,といった理由により骨格標本の3Dモデリング化にも取り組むこととなった。また,研究を進めるなかで性能向上と価格低下によって3Dプリンタが実用レベルに達していると感じ,それを導入,公開方法の一つとして3Dプリント成果物を利用することを取り入れた。また一方で,2017年度内に雇い入れる予定であったアシスタントの選考に難航し,剥製標本3Dデータの件数が思うように伸びなかった。なお,2018年5月アシスタントを導入した。今後3Dモデル作成の速度は上がってゆくと考えられる。また,鯨類ストランディング時の全身像の撮影については2017年度中に3体実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
博物館標本の3Dモデル撮影のための手引きを2018年度中にはテキスト化する予定である。また,現在所属する国立科学博物館とも協働で3Dモデルを活用した教育プログラムに発展させたいと考えている。ヨシモトコレクション3Dに関しては撮影アシスタントが増えたため,今後ペースを上げてHP上に掲載して行く予定である。また,鯨類ストランディング時の全身像の撮影について,これは第一に対応可能なストランディングの有無,天候や現場の状況によって撮影の可否が変わるため,一概に目標数を設定できない。可能な限り撮影をおこない,これも撮影方法のテキスト化を行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
当初2017年度から撮影補助を雇う計画であったが,人選に難航したため。2018年度に人員を確保し使用する予定。
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Remarks |
ヨシモトコレクション剥製の3Dモデルが閲覧できるデータベース。
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Research Products
(8 results)