2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17K13138
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
土屋 吉史 熊本大学, 発生医学研究所, 特別研究員(SPD・PD・RPD) (20795679)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 筋サテライト細胞 / 筋損傷 / 筋線維 / 解糖系酵素 / マイオカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
筋サテライト細胞は、筋の損傷時に活性化することで筋の再生を担う幹細胞である。したがって、筋サテライト細胞を活性化させることは筋損傷の修復を促進するために重要である。本研究では、筋損傷後にサテライト細胞の活性化を促進する筋由来因子をみつけだし、筋の損傷修復機構の新たな解明を目指した。 この目的を達成するために本研究では、休止期にある筋サテライト細胞の活性化を筋線維上で培養かつ定量可能な「浮遊培養法」と筋損傷を模倣した実験モデルを用い、筋線維上のサテライト細胞の活性化に寄与する筋由来因子を同定した。 実験では、損傷のある筋線維と損傷のない筋線維とを同一培養皿内で共培養させ、サテライト細胞の活性化度合いを測定した。その結果、損傷を加えた条件でのみサテライト細胞活性化の指標である MyoD 陽性細胞数と、細胞増殖の指標の一つである ki-67 陽性細胞数が増加した。その一方で、細胞周期におけるS期を通過したか否かの指標である EdU の陽性細胞数は増加せず、サテライト細胞数も有意な増加を示さなかった。したがって、筋線維由来の生理活性因子は筋サテライト細胞を活性化させるものの、増殖を促進させるまでには至らないことが分かった。 次いでサテライト細胞を活性化させた筋線維由来因子を特定するために、筋線維に損傷を加えた培養液の上清を対象にプロテオーム解析を実施した。その結果、解糖系酵素として知られているタンパク質群が候補として挙げられ、再び浮遊培養法にてこれらの酵素群を添加すると、サテライト細胞の活性化が観察された。実際にWTマウスにこれらのタンパク質を投与した後に筋損傷を生じさせると、MyoD 陽性細胞数が有意に増加した。 以上の結果から、筋線維が損傷した際に漏出するタンパク質群は筋サテライト細胞を活性化させる役割を有しており、本研究では、筋損傷修復機構の一端を明らかにすることができた。
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Research Products
(2 results)