2018 Fiscal Year Research-status Report
十八・十九世紀を中心とした怪異文芸と学問・思想・宗教との総合的研究
Project/Area Number |
17K13386
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
門脇 大 神戸大学, 人文学研究科, 人文学研究科研究員 (30634133)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 怪談 / 牡丹灯籠 / 東海道四谷怪談 / 心学 / 山東京伝 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、「近世怪異文芸を学問・思想・宗教との関係から捉え直し、通史的な読解を行うことにより、従来とは異なる視座から文学史・文化史の再編を行う」という本研究の主目的に沿って、3冊の共著を公表し、1回の学会発表を行った。以下に、公表した研究実績を記す。 1)「浅井了意「牡丹灯籠」」(『<江戸怪談を読む>牡丹灯籠』、白澤社、2018年、全5名による共著、PP.25―40)を執筆した。浅井了意『伽婢子』に収まる「牡丹灯籠」の解説・現代語訳を行った。 2)『怪談牡丹燈籠・怪談乳房榎木』(KADOKAWA、2018年。三遊亭円朝作・堤邦彦解説・門脇大注釈、総PP.416)。三遊亭円朝『怪談牡丹燈籠』、同『怪談乳房榎木』の注釈と、主要地を収める地図を作成した。 3)「文政八年(一八二五)―爛熟する庶民文化が示す江戸の深奥」(『輪切りの江戸文化史』、勉誠出版、2018年。鈴木健一編・全15名による共著、PP.269―292)を執筆した。文政八年という、化政文化が華開いた江戸文化の諸相を検証し、紹介した。特に、四世鶴屋南北『東海道四谷怪談』は、この時代の様相を如実に反映していると考えて、『仮名手本忠臣蔵』の世界を反転させた作品として論じた。 4)「十八・十九世紀の「心」の認識と表象―心学と文学の接点を探る」(日本文学協会第38回研究発表大会、日本文学協会、金沢大学、2018年7月)。18世紀後半から19世紀前半にかけての「心」の認識と表象を具体的に検討した。特に、石門心学の資料をのうち、中本型の絵入り心学書に視覚化された「心」と、山東京伝の黄表紙に認められる「心」との関係性を検証し、明らかにした。 上記の研究に加えて、18・19世紀を中心とした近世怪談と周辺分野に関する研究会での発表、および基礎研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は3冊の共著と1回の学会発表を行い、順調に研究成果を公表している。ただし、当初の研究計画と異なる方向性も認められる。しかし、それらは当初の計画では想定していなかったものの、密接な関係が認められる研究であるため、大きな問題はない。また、研究会などでの活動を通して、研究は着実に進行している。次年度以降に研究成果を公表する予定であり、本研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの研究はおおむね順調に進んでおり、今後も継続して研究を進める予定である。投稿予定の論文の準備も進行中であり、順次発表する。
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Causes of Carryover |
少額の当該助成金が生じたが、誤差の範囲といえる。次年度の文具費等に使用する予定である。
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[Book] 牡丹灯籠2018
Author(s)
横山泰子・門脇大・今井秀和・斎藤喬・広坂朋信
Total Pages
208
Publisher
白澤社
ISBN
4768479723
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