2022 Fiscal Year Annual Research Report
A Systematic Study of "Man'yoshu" Manuscripts in the Early Edo Period
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17K13401
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Research Institution | Gifu Shotoku Gakuen University |
Principal Investigator |
大石 真由香 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 講師 (40624060)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 万葉集 / 禁裏御本 / 仙覚本 / 中院本 / 陽明文庫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、近世初期における『万葉集』の書写・利用の様相を明らかにし、近世初期という一時代の『万葉集』受容のありようを総合的に捉えることにある。『万葉集』写本の中でも、近世初期の堂上において数多く書写された中院本系統の写本は、室町期に今川範政が『万葉集』を校訂し後に禁裏に入った「禁裏御本」による校合の結果を、代赭または紫で書き入れている。この書入を検討することにより、現存しない「禁裏御本」のすがたを復元することが、本研究の主軸であった。 本研究では当初、中院本によらず「禁裏御本」に直接基づくと推定される紫の書入をもつ①陽明文庫所蔵「古活字本万葉集」を研究の中心に置いてきた。しかし、2019年度から新たに研究対象として加えた②京都大学国語学国文学研究室蔵『万葉集』巻二、巻三が、写本のかたちで現存する唯一の「禁裏御本」転写本である可能性を指摘できた。 本年度は昨年度に引き続き、(1)②の伝本系統に関する研究、(2)①と②の対校に関する研究を進めた。(1)については昨年度に成稿したものの公表に至らなかった原因を踏まえて修正し、「京都大学国語学国文学研究室蔵『万葉集』の系統―京大本代赭書入との関係をめぐって―」と題して『岐阜聖徳学園大学国語国文学』42号(2023年3月)に公表した。(2)については論文としての成稿には至らなかったものの、資料を「『万葉集』禁裏御本巻二・巻三の対校表―京都大学本・陽明文庫所蔵「古活字本万葉集」・京都大学国語学国文学研究室本―」と題して『万葉写本研究―日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(B)18H0064「万葉集仙覚校訂本の総合的研究」研究成果報告書―』(2023年3月)に公表した。
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Research Products
(2 results)