2019 Fiscal Year Annual Research Report
The role of semantic relatedness in text comprehension in English as a foreign language: Comparison of different text units and developmental stages
Project/Area Number |
17K13507
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
名畑目 真吾 筑波大学, 人間系, 助教 (60756146)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 英語教育 / リーディング / 文章理解 / 記憶 / 心理言語学 / 潜在意味解析 / 計算言語学 / 自然言語処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題の目的は,単語や文の意味的な関連が日本人英語学習者の文章理解とどのように関わっているのかを明らかにすることである。本課題における意味的関連とは,テキスト分析や言語コーパスに基づいて算出される意味の類似度を指す。研究期間3年目である本年度は以下の2つの研究を行った。 1つ目の研究は,昨年度の研究を継続・発展したものである。300語程度の英文(物語文)を実験材料とし,文章内の節や文間の意味的な関連度が,学習者のテキスト記憶に与える影響を検討した。これまでは2文1組の短い文章を実験材料としていたが,本研究ではより現実世界で出会いやすい,長めの文章を扱っている点に1・2年目の研究との重要な違いがある。意味的関連度はこれまでと同様,言語コーパスと統計解析に基づく潜在意味解析 (latent semantic analysis; LSA) によって算出された。日本語を母語とする大学生がこれらの英文を読解し,読解後に文章のタイトルを手掛かりとして文章内容を想起する再生課題が行われた。その結果,前後の情報と高い意味的な関連度を持つ情報ほど読解後に再生されやすいことが明らかとなり,長めの英文読解においても情報間の意味的関連が文章理解に影響を及ぼすことが示された。 2つ目の研究では,年少者向けに作成された読み物教材の難易度を,文章の言語的特徴に基づいて推定することを試みたものである。その結果,難易度を予測する言語的特徴として文章内の動詞の意味的な関連度が含まれ,テキスト情報の意味的な関連度が文章難易度と関わっていることが示された。動詞の意味的関連が重要となるのは年少者向けの教材に特有の結果であり,読み手の発達段階によって意味的な関連度の影響が異なる可能性がある。 これらの結果は,情報間の意味的な関連度という言語的特徴が英語学習者の文章理解に影響を及ぼすことを明らかにした点で意義がある。
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Research Products
(8 results)