2017 Fiscal Year Research-status Report
企業倒産における労働者の利害調整の実態に着目した人員整理に関する比較法的研究
Project/Area Number |
17K13623
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
戸谷 義治 琉球大学, 法文学部, 准教授 (10643281)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 倒産労働法 / フランス法 / 団体交渉 |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究は、法実務の調査及びフランス法制との比較を通して、企業倒産、特に再建型倒産の状況における労働者(集団)と債権者等、他の利益集団との「利害調整」の法理を明らかにし、以て倒産事案における適正な人員調整の制度を示そうとするものである。 特に、①労働者を集団的及び個別的に代表すべき代表者の法的位置づけ、②使用者としての立場をもつと同時に中立的に再建計画を策定すべき管財人のあり方、並びに③倒産裁判所における基準策定段階における紛争処理のあり方を明らかにすることによって、債権者集団の利害も考慮した、迅速な手続き進行と、労働者の利益保護を図る解釈論上の問題解決及び制度設計上の示唆を得ることができるものと期待できる。 その中にあって、今年度は、計画1年目であって、文献調査及びフランスにおける調査の年であった。 当初計画の通り、9月にはフランスを訪れ、現地において研究者及び実務家に対する、企業倒産及び使用者と労働者との意思疎通・意思形成の法理・法実務についての聞き取り調査を実施した。 特にフランスにおいては、現在のマクロン大統領が政権を取って以降に行われた、労働法改革に伴い、団体交渉等による意思形成過程にも変革がなされたため、聞き取り調査及び文献調査によって情報を収集した。 また、日本法についても、同様に倒産時の手続における意思形成過程の検討を進めたところである。その成果としては、後述の通り、国際シンポジウム報告1回、国内研究会報告2回、及び論攷公表3本を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地での調査を含めて、概ね当初計画に沿って研究が進行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
第2年度となる平成30年度においては、平成29年度と同様に当初の計画に沿って研究を進める予定である。 必要に応じて補充的な調査を実施するほか、平成30年12月には香港において開催される東アジア法哲学会大会において成果の一部を報告する予定となっている(開催場所については申請書には台湾と記載したが、大会事務局より香港に変更となった旨連絡があった)。 学会報告を踏まえた論文については、可能であれば同年度中の公表を目指すが、どんなに遅くとも平成31年度前半には公表の予定である。
|
Causes of Carryover |
定期購入するフランス法関係雑誌の購入について、平成30年度以降も継続購入の予定であるところ、その支払時期については年度の前後いずれになるかが確定できない部分があったため、数万円の範囲で念のために支払が滞ることのないようにしたものである。この分については、来年度の雑誌購入に充てる予定である。
|
Research Products
(4 results)