2018 Fiscal Year Research-status Report
Studies on a Teacher's Autonomy and Neutrality in the Special Subject "Moral Education" from the Perspective of Comparative Education Law
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17K13626
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Research Institution | Okinawa International University |
Principal Investigator |
安原 陽平 沖縄国際大学, 総合文化学部, 講師 (50723102)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 教育法学 / 教育の自由 / 中立性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、子どもや教師の精神的自由の保障を目的として、特別の教科「道徳」における教師の教育の自由とその限界について考察するものである。今年度は、研究実施計画を踏まえ、①教師の教育の自由と中立性の関係、②教育行政と学校(各種学校を含む)の関係について、それぞれ理論的検討を進めた。 ①については、教育の自由との関係における「政治的中立」を主たる対象とした。具体的には、教育基本法14条2項の党派的教育の禁止条項について、いかなる解釈が可能かを検討している。政治的中立には、子どもの精神的自由を守るために教師に党派的な教育を禁止する機能があると同時に、多様な政治的見解を前提とした政治教育の自由を保障する機能もあることを確認した。この成果については、研究会で公表しており、次年度以降、コンメンタールとして発表する予定である。 ②については、「公立高等学校等に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律」をめぐる朝鮮学校無償化訴訟を対象とした。学校との関係において、教育行政の裁量は極めて広範であることが確認でき、その裁量を統制する人権論の必要性を指摘した。 以上の理論的検討のほか、本年度はドイツでインタビュー調査をおこなった。教育の自由論の業績を有する研究者へのインタビューやノルトライン=ヴェストファーレン州の学校への訪問などをおこなった。本研究との関係では、親の教育権や開かれた中立性概念の重要性などを確認できた。 その他、沖縄県教育委員会等主催の「高校生と選挙の関り方について考えるフォーラム」において、「高校生と選挙権」と題する基調講演などのアウトリーチを行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
教師の教育の自由と中立性の関係や教育行政と学校(各種学校を含む)の関係などの理論的検討、ドイツでのインタビュ-調査を通じた情報収集などが進む一方、論文や研究ノートなどの発表がやや遅れている。次年度以降は、論文の発表に重点的に取り組むことを予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、2017年度ならびに2018年度の成果を踏まえ、とくに論文の発表を重点的に進めたい。また、比較研究の成果も発表できるよう取り組む。 理論的研究に基づく規範的提言にとどまらず、特別の教科「道徳」の指針等となるような実践的な提言も行う予定である。
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