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2020 Fiscal Year Research-status Report

フランス私法における権限濫用法理の生成と展開

Research Project

Project/Area Number 17K13645
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

高 秀成  大阪大学, 法学研究科, 准教授 (50598711)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2022-03-31
Keywords権限濫用 / 共通利益 / 集合利益 / 代表 / 所有者不明土地 / 管理不全土地 / 共有 / 善管注意義務
Outline of Annual Research Achievements

本年度は、これまでの研究成果から明らかになった、対象とする利益のあり方に着目した権限の類型を、我が国の実体法に則して考察する作業を進めた。大きくは、1.単一法主体の利益を代表する権限、2.複数法主体の利益を代表する権限、3.代表しようとする複数法主体の利益のなかに自己の利益も含まれている場合の権限に分類し、とりわけ、我が国で明確な輪郭が与えられていなかった2および3の類型についての検討を重視した。そして、3の類型について、昨年のフランス民法1421条に規定される夫婦共通財産の管理権に関する議論を参照しつつ、共有における財産管理、組合代理、日常家事代理権などの検討を行った。
加えて、本年度は、「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正」に関する改正論議が大きく進展したことへの対応も行った。すなわち、同改正において、規定されることとなった、共有物の管理者、所有者不明土地の管理人、管理不全土地の管理人による財産管理の法的構造の分析を行い、そこで代表される利益および権限の目的から、今回、明文化に至らなかった権限に対する規律のあり方を分析した。
以上を踏まえて、なおその性質に議論がある、我が国の実体法上の財産管理制度であるところの破産管財人を含めて、遺言執行者、組合代理、日常家事代理、共有財産の管理、所有者不明土地の管理人、管理不全土地の管理人に関する制度を整序し、権限濫用、善管注意義務などの共通規律を確認し、その適用に際しての視点を析出するに至った。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年は、海外渡航や国内出張の制約により、必要文献などの収集に困難が伴った。そのため、本年度の研究方針を大きく変更せざるを得ず、主に我が国の実体法上の制度の検討の比率を大きくし、研究対象範囲を広げる必要が生じた。
他方において、本研究と密接に関連する「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正」の論議が大きく進展したことにより、本研究にとって新たな検討素材が提供され、審議会をはじめとした議論を参照しつつ、具体的な制度を基軸とした検討を拡充することができた。
そして、日常家事代理権、組合代理、共有、所有者不明土地、管理不全土地などの豊富な制度を対象として、本研究が課題とする権限濫用法理の適用例、権限をめぐる共通規律に関する実証的な検討が可能となった。

Strategy for Future Research Activity

第一に、本年度には出張などに生じた制約により支障があった、フランス民法1421条の夫婦共通財産の管理権、フランス債務法の代理権濫用規制についての分析を進め、前述の我が国の制度の分析にとっての示唆を析出する。
第二に、本年度に検討の素地とした日常家事代理権、組合代理、共有、所有者不明土地、管理不全土地などの検討を完遂させ、実定法上の様々な制度についての横断的視野に基づいた権限濫用の検討を公表する。そのなかで、これまでの本研究の成果に基づき、権限濫用法理の起源、他法分野における展開、基礎法分野における考察などの知見を反映し、権限濫用法理に明確な輪郭を与えつつ、我が国の実体法上の制度においても安定的に参照できる規律となりうる可能性の提示を試みる。

Causes of Carryover

本年度に予定していた研究出張に制約が生じ、研究上必要としていた複数の文献の入手が困難となったため、当該費目についての空白が生じたため。当該文献のうち、いくつかは出版計画の遅延などがあったが、次年度には出版が見込まれている。また、本年度に予定していた研究出張は、次年度には実施できる見込みが高く、仮に不可能となった場合でも、早期に現地の研究者等を通じて、文献調査および複写を依頼して送付してもらうことや、必要に応じてメールあるいはオンラインでのインタヴューを行うなどの代替の手段を講じることにより対応が可能である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2021

All Journal Article (1 results)

  • [Journal Article] 総合考慮のもと普通預金債権が口座名義人ではない者に帰属すると判断された事例2021

    • Author(s)
      高秀成
    • Journal Title

      新・判例解説Watch

      Volume: 28 Pages: 99-102

URL: 

Published: 2021-12-27  

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