2017 Fiscal Year Research-status Report
Liberalism without liberty: Developments of non-Anglophone liberalism
Project/Area Number |
17K13677
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
千野 貴裕 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 専任講師 (00732637)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 政治思想史 / イタリア政治思想 / グローバル政治思想史 / 自由主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、しばしば暗黙の前提とされている英米型の自由主義と異なる自由主義の系譜を、20世紀前半(1920-40年代)の日本とイタリアの文脈において検討することである。英米型の自由主義は、言論・結社・信教の自由などの個人主義を前提とした自由の漸次的発展を志向する。これに対して、本研究の問いは、こうした自由が剥奪されたとき、自由主義は何を意味するのだろうか、というものである。この観点から、本研究は、英米型自由主義から見ると特異にすら映るであろう、1920-40年代の日本とイタリアの自由主義者の思想を検討している。本研究によって、われわれの社会が前提とする自由主義が英米モデルに限定されたものよりも、より豊かで幅広いものであることが明らかになるだろう。 上記の目的にしたがって、まず初年度は、同時期日本のジャーナリスト(長谷川如是閑、清沢洌、石橋湛山)の文献を研究するとともに、同時期の日本におけるキリスト教の役割の検討を行ってきた。同時に、イタリアにおける自由主義の系譜として、議会主義を批判する立場から議会主義の肯定に至ったガエターノ・モスカの思想的転換の根拠についても検討を進めている。また、イタリアの大学図書館などから日本では入手不可能な書籍や論文を入手し、データ化と体系的整理を進めている。 今年度以降、このテーマについてのベルギーのカトリック・ルーヴァン大学におけるセミナーでの報告と、それを元にした英語論文を計画している他、複数の英語論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2017年4月に研究代表者が早稲田大学に専任講師として着任することになったため、2017年度はその初年度であり、慣れない学務に大きく時間を割かれた。そのため、当初計画していたよりも研究はやや遅れている。しかし、今後の研究に資するいくつかの大きな進展があった。 まず、グローバルな視点から各国史的な政治思想史を見直そうという観点を共有する研究者とともに、本研究とも密接に関連する二つの研究会(「日本思想史研究会」「グローバル政治思想研究会」)を立ち上げることができた。これらの研究会では、政治学のみならず隣接分野の研究者(社会学者、カルチュラル・スタディーズなど)も参加している。これらの研究会をプラットフォームとし、前述の通りべルギーでのシンポジウム開催や英語ジャーナルへの特集持ち込みなどを企画している。 第二に、学内経費によりアメリカ合衆国への出張を行った際、グローバル政治思想史の展開と可能性について同地のイタリア思想研究者たちと意見交換を行う機会をもった。日本の自由主義の展開については、外国語の発信が少ないこともあり、関心を持たれつつも、ほとんど知られていないとの印象をもった。この出張により、今後、早稲田大学国際部とも連携しつつ、海外のイタリア研究者を招くシンポジウム等を企画する素地ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、上述した二つの研究会を着実に積み重ねることで、本テーマに関する英語報告と論文執筆を進めていく。ベルギーでのシンポジウム開催と英語ジャーナルへの特集持ち込みをぜひ実現させたい。 また、着任初年度に懸念された学務負担も、今年度以降は慣れとともに軽減され、研究時間を取れるようになってきている。そのため、第二に、文献を読解する時間を十分に確保していくことができる見込みである。とくにモスカのみならず、イタリア語圏の外ではほとんど知られていないイタリアの自由主義者たちについても十分な文献研究を行っていくことは、本研究にとって大変重要である。
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