2018 Fiscal Year Research-status Report
ラテンアメリカにおける先住民自治制度化要因の質的比較分析
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17K13678
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
舟木 律子 中央大学, 商学部, 准教授 (20580054)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 先住民自治 / 比較法 / ラテンアメリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、前年度に引き続きラテンアメリカ対象16カ国を中心とする先住民自治関連の文献調査を行った。また2018年5月末に、東北大学で開催された比較政治学会にて、先住民自治制度化要因研究における混合研究法の意義と課題に関する報告を行った。 その後、8~9月中は、対象国のひとつであるチリの先住民運動に関する情報収集と資料分析を行った。チリにおける先住民自治の制度化要求に関しては、地方分権化の推進と連動する先住民系市長団体を中心とする制度内での緩やかな移行を目指す活動がある一方で、よりラディカルな立場から自治政府の樹立を目指す運動組織の活動があり、現時点における関連組織の立ち位置の確認作業を進めた。 またチリにおける先住民自治の制度化に対して、今後大きく影響することが予測される広域自治体レベルの分権化要因を調査し、12月のラテンアメリカ政経学会において研究報告を行った。同研究においては、国会での議事録と、関連議員を中心とするインタビューデータの分析による政治過程追跡を行い、これまで域内でも最も中央集権的な体制が維持されてきたチリにおいて、いかなる要因で分権化が進行したのかを確認した。この制度化過程において、先住民問題は直接的には扱われなかったものの、関連アクターの先住民自治の制度化に対する言説に影響を与えていることも確認された。 10月以降、比較法を専門とする研究協力者(ルベン・サムディオ氏北海道大学法学研究科助教)の協力を得て、対象16カ国の憲法と先住民関連法制の調査を進め、2019年2月には、先住民自治の制度化状況について法律上の最新の動向を確認した。これらの調査結果を踏まえて、2019年5月にはサムディオ氏とともにカナダのラテンアメリカカリブ学会で研究発表を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度は、先住民自治への先住民自身の態度を調査する際の混合研究法の意義に関する学会報告と、ラテンアメリカ比較法を専門とする研究者の協力を得て、対象16カ国の憲法および先住民関連法制の調査を進展させることができた。
しかし当初の計画で実施予定であった対象地域7カ国における現地調査は、法制調査を優先し見送ったため、計画通り進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
ラテンアメリカ地域全般を対象とする先住民自治の研究には、現地での研究協力者の存在がなくてはならないが、2018年度は、各国の法制度調査を優先し、現地調査までは実現できなかった。報告者は2019年度より在外研究期間を取得し、カナダ・ヨーク大学ラテンアメリカ・カリブ研究センターに研究の拠点を移す。ここに所属する先住民自治の専門家であるゴンサレス准教授(Miguel Gonzales)の協力を得ながら、ラテンアメリカ諸国の先住民問題研究者と協力関係を構築し、本プロジェクトをさらに進展させる予定である。その活動の一環として、2019年5月に開催されるカナダ・ラテンアメリカ・カリブ学会の第50回大会にて、本年度までの調査成果をまとめて研究発表を行う予定である。同学会にはカナダ内外のラテンアメリカ研究者が参加しており、先住民自治の現状に関して情報交換と今後の研究協力の可能性を探る予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は当初計画されていた現地調査を実施せず、国内での法制度調査を重点的に行ったため、次年度使用額が発生した。次年度より研究の拠点を海外に移すため、現地調査・研究会参加などにかかる費用が多く見込まれるため、次年度使用額を有効に活用して研究を進めていく予定である。
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Research Products
(2 results)