2019 Fiscal Year Research-status Report
国境管理におけるEUとNGOのパートナーシップ―政策ネットワーク論の視点から―
Project/Area Number |
17K13690
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Research Institution | Akita International University |
Principal Investigator |
堀井 里子 国際教養大学, 国際教養学部, 助教 (30725859)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 国境管理 / 地中海 / 海上捜索救助(SAR)活動 / NGO / 難民 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地中海上での移民・難民の捜索救助(SAR)活動を研究対象として、NGOとEUおよびEU加盟国との関係性を明らかにすることを目指している。 令和元年(2019)度は、3年目にあたる。今年度は、昨年度実施できなかった現地調査をドイツおよびスペインにおいて行った。まず、ドイツでは、Sea-Watch、Sea-Eyeという著名なSAR活動を行っているNGOに聞き取りを実施し、共通する課題(例:救助後にEU加盟国が下船をすぐに認めず船上で待たされる)や政府との関係性において異なるアプローチ、考え方があること、またドイツ市民社会とのつながりなどが新たに分かった。スペインでは、実際にSAR活動をしているNGOには接近できなかったが、ナショナルレベルで活動しているCEARやスペイン赤十字に話を聞き、SAR活動に対するスペイン社会の受け止めについて聞き取りできた。これによって、これまでは国境なき医師団(MSF)とMOASという二つのNGOに絞っての分析であったが、より複数のNGOの実情や動向を基にした分析が可能になった。とりわけ、地中海上での国境管理と救助をめぐる活動が、どのように欧州社会における市民社会の活動に波及・影響しているかについて示唆に富む調査ができたことは有益だった。また、年度後半にはこうした調査や新たな展開なども分析した成果を学術論文として発表すべく、執筆活動に励んだ。最終年度となる2020年度においては、分析・執筆・発表を精力的に行い主題の包括的な理解を目指したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は、研究協力者の協力も得て現地調査およびデータ収集の面で進展が得られた。他方で本年度後半の分析・執筆活動に想定よりも時間がかかっている。また、年度末(3月)に研究成果を発表予定だったが、発表先の国際学会(International Studies Association(ISA))が新型コロナウィルスの感染拡大状況に鑑み中止となった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、スペイン・ドイツでの現地調査で得た新たなデータも含めたより包括的な研究成果を二つの国際学会(世界政治学会(IPSA)およびCenter for European Studies(CES))で発表予定だったが、どちらも新型コロナウィルスの感染拡大状況に鑑み学会が中止となった。実際のところ、新型コロナウィルスに対する欧州各国の対応は本研究のテーマである地中海の移民・難民対応に大きく影響している。そこで、本年度はオンライン会議ツールなどを利用し、海外の専門家と意見交換し更なる知見を得るとともに、その成果を学術雑誌で発表する予定である。
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Causes of Carryover |
2019年度末に参加予定であった国際学会(International Studies Association(ISA)、於ハワイ・ホノルル)が新型コロナウィルスの感染拡大状況に鑑み、中止となったため。
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