2018 Fiscal Year Research-status Report
Research related to tax revolt in Denmark
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17K13753
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Research Institution | The Tokyo Institute for Municipal Research |
Principal Investigator |
倉地 真太郎 公益財団法人後藤・安田記念東京都市研究所(研究部), 研究部, 研究員 (60781078)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 納税者の反乱 / デンマーク / 所得税 / 地方財政 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度においては、デンマーク・コペンハーゲンへの省庁・自治体ヒアリング調査を6月に実施し、デンマークの地方財政に関する知見を得ることができた。 デンマークの地方財政制度は、高いレベルの課税自主権など、分権的な制度であるとみなされてきたが、実際には中央政府、政府間代表機関、地方政府間で歳出や税率の複雑な調整が毎年度行われていることが分かった。このことは、納税者の税制に対する認識や政府に対する信頼に影響を与えている可能性がある。デンマークにおける地方税制がどのようにして変遷したのか。それが政府間関係とどのように結びついていたのかを詳細に検討する必要があると考えられる。 また、近年注目を集めているポピュリズム政治とデンマークの「納税者の反乱」の関係性についても考察を行う必要があることから、ポピュリズムに関する文献調査を行った。デンマークの「納税者の反乱」を主導した反税政党・進歩党がどのようなポピュリズム的性格を有するかを検討した。財政学においてはポピュリズムと財政赤字の関係に焦点が当てられることが多く、ポピュリズム政治と税制に対する納税者の認識については分析が十分検討されていない。さらに、左派ポピュリズムの台頭にも表れているように、ポピュリズムの定義の多様性・多義性が指摘されており、ポピュリズムと財政の関係性を多角的に検討する必要がある。今後、ポピュリズム政治がデンマークの社会民主主義に、歴史的にどのような影響を及ぼしてきたのか、そしてデンマークの政党が有するポピュリズム的側面はどのようなものかを分析する予定である。これらの分析を通じて、デンマークにおける「納税者の反乱」の実態を複眼的に検証することができると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度においては、新たな学術的成果を上げることができず、分析・執筆の進行状況もやや遅れている。6月にデンマーク・コペンハーゲンで現地調査を実施したが、付加価値税に関する分析・執筆に予想よりも多くの時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
デンマークの税制だけでなく、地方財政制度にも焦点を当てて分析を行う。また、来年度以降もデンマークで現地調査を進める予定である。具体的には政党、地方政府、税制関係の省庁にヒアリング調査を行い、デンマーク税制の詳細な制度設計や歴史的な課題を検討する。
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Causes of Carryover |
当該年度においては、計画的な研究実施が行えなかったため、次年度使用額が生じた。次年度においては、デンマークの現地調査(夏季休暇期間中を予定)や文献収集などで計画的に研究を実施する予定である。
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