2020 Fiscal Year Annual Research Report
Research related to tax revolt in Denmark
Project/Area Number |
17K13753
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
倉地 真太郎 明治大学, 政治経済学部, 専任講師 (60781078)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | デンマーク / 納税者の反乱 / 地方税 / 進歩党 / コロナ財政 / 国際比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は新型コロナの影響より、研究計画の大幅な変更を余儀なくされた。当初は1967年にデンマークで導入された付加価値税の政策形成過程の研究を行う予定であったが、現地調査の断念だけでなくデンマークで公刊されている書籍の入手が難しくなった。そこで付加価値税の研究は今後の課題とし、国際比較の視点からコロナ禍のデンマークの財政措置を分析した。この分析を通して、どのような制度的基盤が平時と危機時の重い租税負担に対する合意を支えているかを明らかにしようとした。 デンマークではカナダ、米国、日本等と比べて突出して大規模な財政措置が行われず、特別定額給付金のような現金給付が新たに導入されることはなかった。また、日本のように付加価値税の減税が政治的に要求されることもなかった。だが、政労使によるスピーディな賃金補償、地方政府代表組織を介した自治体への財源保障、既存の所得保障制度の組み合わせによって、失業者増加を抑制し、コロナの経済的影響を一定程度抑制することができた。平時からのセーフティネットの仕組みや様々な中間団体のネットワーク・役割が危機の際に機能したといえる。それが政府に対する信頼や重い租税負担の合意に関係していることが示唆された。 これらの分析は、雑誌『都市問題』や『生活経済政策』でのコロナ対応の国際比較分析の論考、北ヨーロッパ学会での研究報告、北ヨーロッパ学会誌『北ヨーロッパ研究』(査読付・2021年度掲載予定)での論文発表といった研究成果につながった。
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Research Products
(5 results)