2018 Fiscal Year Annual Research Report
Political Economic Analysis on the Relationship between Fiscal Policy and Regional Economic Growth
Project/Area Number |
17K13758
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Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
近藤 春生 西南学院大学, 経済学部, 教授 (50508710)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 財政政策 / 公共投資 / 利益誘導政治 / 地域経済 / 道路投資 / 公共選択 / アベノミクス / 災害復旧 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度に当たる本年度は、公共投資をを取り巻く利益誘導政治と地域経済成長の関係を明らかにする研究を進展させるとともに、アベノミクス期を含む近年における公共投資が地域経済や地域雇用に及ぼす効果に関する研究と、災害復旧補助金の地域間配分に関する研究に従事した。 公共投資における利益誘導政治と地域経済成長の関係については、前年度は公共投資と補助金を対象とした論文を米国の国際学会で報告したが、今年度は道路投資を対象とした分析を進め、オーストラリアの国際学会で報告した。これらの研究から、わが国の公共投資は利益誘導政治の影響を受けており、必ずしも公共投資が地域経済成長に寄与していないこと、またそのような政治的バイアスは国主体の事業で大きいことなどが明らかにされた。 近年における公共投資が地域経済に及ぼす影響については、金融政策のスタンスの違いが財政政策の効果に及ぼす影響を考慮する形で分析を行った。非ゼロ金利期に比べて、ゼロ金利期において公共投資が地域経済に対する刺激効果が強くなるとの結果は得られなかったが、アベノミクスが雇用に対して地域によってはプラスの影響を与えたことが確認された。これらの研究成果の一部は、国内外の学会で報告するとともに、学内紀要や研究書の一部として公刊された。 最後に災害復旧補助金の地域間配分に関する研究では、災害規模だけではなく、首長の経験(在任年数、当選回数)や地方議会の構成が災害復旧補助金に影響を与えている可能性が示された。必要度に応じて配分されるべき災害復旧補助金も政治的バイアスを受けうることを指摘するものといえる。この研究成果は、英語論文としてまとめ、国内外の学会等で報告し、英語の査読付き雑誌に投稿中である。研究期間全体を通じて実施したこれらの研究から、わが国の公共投資が地域経済に及ぼす効果が政治的影響によって低下している可能性を示すことができたと考えられる。
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