2018 Fiscal Year Research-status Report
Geometric analysis on asymptotically symmetric spaces and parabolic geometries
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17K14189
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松本 佳彦 大阪大学, 理学研究科, 助教 (00710625)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | リーマン幾何学 / アインシュタイン方程式 / 共形幾何学 / CR幾何学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の初めの目標は、漸近的対称空間のうちとくに漸近的複素双曲空間(ACH空間)とよばれる種類のものについて、空間がアインシュタイン方程式をみたす場合に、そのような空間に存在すべき「一種の複素構造」の考察を行うことだった。さらに2018年度は、それを境界不変量の構成に応用すること、およびACH空間とは異なる種類の漸近的対称空間について上記の「一種の複素構造」と類似する幾何学的構造をみいだすための考察に着手することを計画していた。(なお、ここに述べた内容は、2018年度の途中で行った前倒し支払請求に記載した、変更後の研究実施計画にもとづく。) 2018年度、以下の内容を実際に実施した。ACHアインシュタイン空間の「一種の複素構造」の考察について、論文プレプリントを作成し公開した(まもなく論文誌への投稿を行う)。またそれに関連して得られた、PedersenによるAHアインシュタイン空間の構成(1986年)の一般化について、論文を完成し、これはProceedings of the American Mathematical Society誌に掲載されることがきまった。境界不変量の構成、ACH空間と異なる種類の漸近的対称空間の考察については、さまざまな検討を行っている段階である。 なお、2018年度を通じてスタンフォード大学に客員助教として滞在し、おもにRafe Mazzeo氏と議論を行った。また、カリフォルニア大学デイヴィス校、レーゲンスブルク大学、高等師範学校(フランス)、ワシントン大学、台湾中央研究院、ペンシルヴァニア州立大学を訪問し、本研究に関する講演をしたり、また関連研究者との議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体として、計画したことに近い成果が得られている。ACHアインシュタイン空間の一種の複素構造を利用した境界不変量の構成については、当該年度中にもう一歩踏み込んで具体的な結論を得ることを見込んでいたのでやや遅れているが、根本的な困難が生じたわけではなく、引き続き取り組むことで本研究において成果をあげられるものと思う。Pedersenの構成の高次元化は当初予期していなかった副産物である。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、2018年度に検討を開始した二つの課題について引き続き取り組み、各々について具体的な結論を得ることを予定している。研究費はこれまでと同様、おもに研究集会への参加費用や関連研究者との打ち合わせのために用いる。
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Causes of Carryover |
旅費額が想定よりも少なくすんだため次年度使用額が生じた。この額は、翌年度の旅費の一部として使用する計画である。
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