2017 Fiscal Year Research-status Report
Statistical physics for viscosity and diffusion of weak turbulence in electro-convection systems
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17K14593
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
鳴海 孝之 山口大学, 大学院創成科学研究科, 講師 (50599644)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 時空カオス / 液晶電気対流 / Nikolaevskii乱流 / 劣拡散 / 優拡散 / 粒子拡散 / Lagrange描像 / 分子動力学シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの乱流研究は発達乱流が主な対象であったが、近年、十分には発達していない乱流の重要性も認識されてきた。研究代表者は、そうした乱流の一種である「弱い乱流」について、非平衡統計力学の立場から理論的に研究してきた。平成29年度は、弱い乱流に駆動される拡散について調べるため、2つの弱い乱流をLagrange描像で研究した。テーマは、(1-A) 液晶電気対流系で見られる弱い乱流の実験結果の解析と、(1-B) 時空カオスの一種であるNikolaevskii乱流の数値シミュレーションに大きく分けられる。 (1-A) 液晶電気対流系での弱い乱流について、大規模な制御変数領域で粒子位置の測定が共同研究者により進められており、研究代表者は得られた実験結果を非平衡統計力学の観点から解析した。実験としては、弱い乱流に混入した蛍光粒子の運動を追跡しており、研究代表者も参画して行った先行研究ではこの手法により弱い乱流に関係する対流構造を調べていた。この研究を深化させることで、今回、弱い乱流での劣拡散現象を見出した。さらに、その劣拡散現象が対流構造に対する跳ね返りに対応していることを明らかにした。 (1-B) 弱い乱流による粒子拡散を理論モデルから理解するために、Nikolaevskii乱流中の粒子の拡散を研究した。乱流中の粒子運動を実現するため、乱流での流速場と粒子の速度が一致するという条件(粒子質量が無限に小さいとみなせる状況)を採用し、粒子位置の時間発展にNikolaevskii乱流の情報を時々刻々反映させた分子動力学シミュレーションを実行した。得られた結果を解析したところ、中間時間領域で優拡散現象が見出された。 この優拡散現象の物理的意味は未だ解明されていないものの理解に向けた知見を蓄積しており、今後の研究の土台となる結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者の異動に伴って研究環境が大きく変化したことで、申請当初に予定していた計画通りには進まなかった。 しかし、2年目に行う予定であった研究内容を前倒しで進めることができたので、全体としてはおおむね順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の研究テーマ実現には実験研究を行なっている共同研究者との綿密な意思疎通が必要となるので、折を見て議論する機会を設ける。 一方、平成29年度に実際に行った研究(特にテーマ(1ーB))もさらに推し進める。 そのためには大型計算機の活用が必要となるが、占有的に計算機を使用できる環境は整えたので、今後は多くの計算結果を解析する段階に進めたい。
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Causes of Carryover |
概ね予算を使い切り、配分額の約2%分が余った。次年度使用額については「その他」の項目に含め、研究会の開催費用とする。
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Research Products
(7 results)