2017 Fiscal Year Research-status Report
ヴェネツィアの周辺水域ラグーナと後背地テッラフェルマの地域形成史に関する研究
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17K14792
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
樋渡 彩 東京藝術大学, 美術学部, 助手 (90793696)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ヴェネツィア / ラグーナ / テッラフェルマ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、i)とii)の大きなふたつの柱からなる。 ⅰ)ラグーナ全体については、a-dの項目を設定し、次のように研究を進めた。 a.治水事業については、リドからソットマリーナにおける堤防(Mrazzi)跡を調査した。今後はAA.VV., Murazzi: Le muraglie della paura, Venezia, 1999をもとに歴史を把握する。/b.漁業、農業、狩猟については、D.カラビの文献ほかに、ブラーノの漁業を取り上げているL. Gorlato, Storia di Brano, Venezia 2010、農業を生業としているサンテラズモに関する資料を収集した。また博物館(Museo del Territorio delle Valli e della Laguna di Venezia)の館長から狩猟の歴史に関する情報を得ることができた。今後、これらの資料を用いて分析・考察を深める。/c.宗教、検疫、軍事、娯楽機能などを受け入れてきた島々については、リドの現地調査を行い、都市開発において、1930年代が重要な転換点であったという仮説が浮かび上がった。/d.開発の変遷については、マルゲーラ工業地帯の変遷を追えるような地図史料および文献を収集する必要がある。 ⅱ)テッラフェルマからヴェネツィア周辺に注ぐ河川・運河の流域については、文献資料の収集を重点的に行った。今後は各流域の博物館、文書館などの史料収集を行い、分析、考察を進める必要がある。また、バッキリオーネ川流域においては、ヴィチェンツァを重点的に調査し、新たな都市像を考察することができた。従来は建築家アンドレア・パラーディオの設計した建築ばかりが注目されているが、本調査では、水の都市であることに着目し、水車による産業がいかに発展していたかを把握した。今後は史料を収集し、考察を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の計画である、史料収集、現地調査、多分野の専門家との研究交流を行うことについて、比較的計画通り進めることができた。ヴェネツィア建築大学のMatteo Dario Paolucciなど専門家と議論を交わしながら、現地調査を行うことができた。また、文献資料の収集を重点的に行うことができ、今後の考察を進める基盤を築きつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も現地調査や資料収集を行い、各分野の専門家と情報交換を行いながら考察を進める。 ⅰ)ラグーナ全体: a.治水事業:19世紀、フランス及びオーストリア政府下で行われた治水事業を把握し、考察する。/b.漁業、農業、狩猟:収集した不動産台帳および地図から土地利用を把握し、どのような変化があったのかを考察する。現地調査を通して養魚場および狩猟場(ヴァッレ・フィゲーリなど)、農場のあるサンテラズモを取り上げ、形成過程を明らかにする。/c. 宗教、検疫、軍事、娯楽機能などを受け入れてきた島々:史料収集及び現地調査を行う。検疫の役割を担ったラッザレット・ヌォーヴォを取り上げ、用途の変遷を明らかにし、各時代における島々の役割を考察する。3年目はムラーノ、キオッジアを取り上げ、考察を進める。/d.開発の変遷:マルゲーラ工業地帯の変遷を把握し、ヴェネツィアとの関係を考察する。 ⅱ)テッラフェルマからヴェネツィア周辺に注ぐ河川・運河の流域: ピアーヴェ川流域:19世紀に筏に載せて運ばれていた商品の産地を把握し地域形成を考察する。/シーレ川流域:M.ピッテーリ教授と情報交換を行いながら、19世紀の舟運や水車を用いた産業についてヴェネツィアとの関係でどう発展し、衰退していくのか考察を進める。/ブレンタ川流域 :重要な川港であるバッサーノ・デル・グラッパなどの形成過程を考察する。19世紀以降の舟運状況を把握し、ヴェネツィアとの関係を考察し、地域の変化を明らかにする。/バッキリオーネ川流域:エウガネイ丘陵の石材のほかに、砂やレンガなどがどのルートで運ばれてくるのかを把握し、舟運による地域形成を考察する。19世紀以降については、河川航行博物館博物館の史料を用いて考察を進める。 以上、一連の研究成果を学会などで発表し、報告書をまとめる。
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