2018 Fiscal Year Research-status Report
新新たなタイプの向精神薬に着目した安全で効果的ながん幹細胞治療戦略の開発
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17K15015
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
鈴木 修平 山形大学, 医学部, 助教 (90637175)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | がん幹細胞 / サバイビン / ドラッグリポジショニング / 神経伝達物質 / サイコオンコロジー / グリオブラストーマ / 肺がん / 膵がん |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで、アリピプラゾール、オランザピンなどの新しく発売された神経伝達物質受容体関連薬がもつ抗がん・抗がん幹細胞作用について研究(Anticancer Res, 2016. 被引用回数14)(Anticancer Res, 2017. 被引用回数8)を行い、レビュー論文をはじめ、多く引用された。今年度は、アリピプラゾール・オランザピンなどの薬剤よりもさらに新規の、有害事象がさらに軽減されたDrug Xを用いた実験を主に進めてきた。アリピプラゾールなどは有害事象が少ないが、がん患者はfragileな存在であり、アカシジアなどの出現が懸念されるのと、in vivo実験について多少の毒性も観察されていた。そこで、今年度はDrug Xへ着目して抗がん効果や抗がん幹細胞効果について検討を行った。すると、Drug Xは正常細胞や実験動物へ重篤な毒性を示さない一方で、in vitro, in vivoにおいて抗がん効果や抗がん幹細胞効果を示すことを確認でき、耐性分子Yを介した薬剤抵抗性を減弱させる作用も新規に発見することに成功し、古典的な殺細胞性抗がん剤を用いた、効果的ながん治療戦略を見出すことができた。それらの成果は現在論文として投稿中で、現在査読下にある。加えて、まったく異なる難治性腫瘍Zを対象とした成果について現在投稿準備中である。また、今年度報告したgefitinib耐性克服の研究成果(Oncotarget, 2018.)に着想を得たもので、本来無効であるはずの分子標的薬AへDrug Xを共処理することで無効であるはずのEGFR-TKI Aへ感受性を新たに得ることにも成功しており、その成果についても投稿準備中である。 また、本研究を基に日本学術振興会科学研究費社会還元企画「ひらめき☆ときめきサイエンス」を開催し、高校生とがん研究の魅力を共有することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所期の成果は昨年度の報告を主として既に得られているが、その研究を基盤とした新たな着想を得たため、【研究実績の概要】項でも記載したがDrug Xを用いた新たな検討を始めており、所期の計画に関しては「(1)当初の計画以上に進展している。」に相当するが、新たな報告を行うことができる結果を得ており、現在査読中や投稿準備中の段階であり、総合的判断として「(3)やや遅れている。」を選択した。また、研究代表者の実父が2018年秋に死去しており、喪主を務め、死後対応などに追われたことも多少の進捗の負の影響を認めている。
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Strategy for Future Research Activity |
所期の成果は昨年度の報告を主として既に得られているが、そのアリピプラゾール、オランザピンなどの新しく発売された神経伝達物質受容体関連薬がもつ抗がん・抗がん幹細胞作用についての研究を基盤とした新たな着想を得たため、【研究実績の概要】項でも記載したがDrug Xを用いた新たな検討をまさに行っている。いくつかの結果は現在差査読中、論文作成中であるが、一部の成果については現在も実験を重ねてデータの信頼性を高めている。現在得られている成果は、前述の分子Yに関係する経路を主としたものであるが、直近で新たな機序についても興味ある所見が見られており、現在条件検討を重ねている。
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Causes of Carryover |
前述したように、昨年度までの研究結果のなかで得た着想より新規Drug Xを用いた研究について所期の計画を超えた結果が得られており、想定していなかった新たな腫瘍や他系統の薬剤との共処理などを通じた革新的な研究結果が得られており、当該内容について現在査読中であったり、投稿準備中であったりしている。そのため、次年度使用額が生じている。 上記の前向きな理由に加え、もう一つの理由として、こちらも前述した内容ではあるが、研究代表者の実父が2018年10月に逝去しており、研究代表者が喪主として死後対応などにあたったために研究計画に多少の遅れが出たためである。
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Research Products
(2 results)