2020 Fiscal Year Annual Research Report
Individual recognition of hermit crabs
Project/Area Number |
17K15188
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石原 千晶 (安田千晶) 北海道大学, 水産科学研究院, 助教 (80771451)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 個体識別 / 無脊椎動物 / ヤドカリ / 記憶の継続と忘却 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ヤドカリをモデル生物として、無脊椎動物の個体識別能力を明らかにすることを目的としている。本年は、テナガホンヤドカリの2個体間相互作用実験を実施・観察した。実験では、特定の2個体を1回目の遭遇から複数の期間(1時間~1週間)を経た後に再遭遇させ、1度目の遭遇で確立したと考えられる相手への個体識別が、その後どれくらいの期間持続するのかについて検証を試みた。現在、実験は全て終了し、撮影した動画からデータを抽出し、解析している。実験開始時には、同属他種で得られた知見に基づき、本種の個体識別も数日程度で失われ、例えば1週間後に2個体を再遭遇させた群については、1回目と2回目の遭遇時の攻撃パターンが変わらないことを予想していた。 上述の通り現在もデータを解析中であり、明確な結論には至っていないものの、予想に反し、2個体を1週間後に再遭遇させた場合も、複数の試行で同じ相手を回避するような行動が観察された。このことから、本種の個体識別は予想以上に長期的な記憶として保存されている可能性がある。また、1回目の遭遇から1時間後に別の相手と遭遇させた場合であっても、1度目の遭遇で相手個体に貝殻を奪われるなど明確な優劣関係を経験した個体については、新たな相手を回避する傾向も見られた。したがって、彼らの行動パターンには特定の相手に関する記憶だけでなく、自らの過去の優劣経験も影響する可能性がある。今後も引き続き解析を進め、行動パターンの洗い出しに努める。
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