2017 Fiscal Year Research-status Report
qNMRに基づく相対感度係数を利用した新しい食品品質評価法の確立
Project/Area Number |
17K15496
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
西崎 雄三 国立医薬品食品衛生研究所, 食品添加物部, 研究員 (50745172)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 相対モル感度 / 定量NMR / 認証標準物質 / クロマトグラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では1H-qNMRを利用して、クロマトグラフィー検出器における、任意の基準物質に対する分析対象物質の相対モル感度(Relative Molar Sensitivity:RMS)を算出する。そしてRMSを、認証標準物質(CRM)が入手できない機能性表示食品や食品添加物のクロマトグラフィーに展開し、分析対象物質のCRMを必要としない分析法を開発し、さらに本法を公定分析法として運用する際の注意すべき点や課題点の抽出を試みる。 今年度は、天然添加物コチニール色素の主成分カルミン酸(CA)を分析対象物質、CRMが入手できるカフェイン(CAF)を基準物質とする、HPLC/PDAにおけるRMSをモデルにして、主にRMSのHPLC装置間差について検討した。CA市販試薬とCAF市販試薬の混合試料を1H-qNMRとHPLC/PDAに付し、PDA検出器における両者の応答比を、1H-qNMRから求めたモル比で補正しRMSを求めた。PDA検出器における応答比は、5つの装置(1台はHPLC-UV)を用いて求めた。CAとCAFに共通する極大吸収波長274nmを検出波長とした際、RMSの装置間差は相対標準偏差(RSD)として1.8%であった。一方、CAFの検出波長を274nm、CAの検出波長を可視部の極大吸収波長494nmにした際のRSDは3.2%で、274nmだけを検出波長とした際のRSDより大きかった。この原因として、各HPLC装置のPDAスペクトルの分解能および各波長の光強度の差異が考えられた。RMSを利用したHPLC/PDAを公的な分析法として展開する際、基準物質は、分析対象物質と同じ波長に極大吸収を示す物質を選択することが、試験機関間における分析値のバラつきを小さくするために重要であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、当初の計画通りクロマトグラフ間におけるRMSのバラつきについて、具体的な例を挙げて考察することができた。RMSを利用するクロマトグラフィーを公定分析法に展開する際に注意すべき点が抽出できたといえる。よって、おおむね順調に進呈しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、分析対象物質のCRMが流通していない機能性表示食品や食品添加物に対して、RMSを利用したクロマトグラフィーを適用し、本法の有用性を示していく。
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Causes of Carryover |
当初予定していた海外旅費が、別の予算で支出できたため。 次年度使用額については、標準試薬、HPLC分析カラム、重溶媒などの購入に充てたい。
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