2018 Fiscal Year Research-status Report
抗アレルギー薬のドラッグリポジショニングによる膵発がん予防薬への臨床応用基盤
Project/Area Number |
17K15666
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
加藤 寛之 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (80791293)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 膵癌 / 発癌抑制 / アレルギー / 抗アレルギー薬 / ロイコトリエン受容体拮抗薬 / ハムスター |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の報告で3種類の抗アレルギー薬の中でロイコトリエン受容体拮抗薬(モンテルカスト; Mont)が膵発癌抑制物質の候補として挙がってきた。本年度はBOP誘発ハムスター膵発癌モデルに対し、Mont低容量群(0.1mg/kg/day)、Mont中容量群(0.2mg/kg/day)、Mont高用量群(0.4mg/kg/day)を設定し再度ハムスターにおける発癌抑制実験を行った。その結果、体重や臓器重量などの毒性変化は見られなかった。膵癌の発生頻度は対照群で65%(11/17)に対し、Mont 低・中・高用量投与群ではそれぞれ53%(8/15), 53%(8/15), 40%(6/15)と濃度依存性に低下傾向が見られたが有意差は見られなかった。個体あたりの発生数は対照群が1.06±1.03個に対し、Mont 低・中・高用量投与群では各々0.53±0.52個、0.53±0.52個、0.4±0.5個とMont高用量投与群で有意な低下を認めた(P<0.05)。肝腫瘍性病変、胆嚢腫瘍性病変、肺腫瘍性病変をそれぞれ認めたが有意差は見られなかった。さらに、十二指腸葉においてMont中・高用量群で正常膵管の割合が上昇し、PanIN病変が有意に減少した。また、膵癌内におけるKi67陽性率はMont高用量群で有意に減少し、膵管周囲のM2マクロファージを示唆するCD206陽性細胞も有意に減少した。In vitro実験においてMontは50uMと非常に高い濃度からしか抑制効果を示さなかったため、腫瘍微小環境が重要と考え、BOP投与ハムスターに4週間のMont高用量投与と対照群を設け、膵全体を用いてマイクロアレイ解析を行った。現在結果を解析中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度の報告にある通り、想定した膵発癌抑制効果が見られなかったため、再度動物実験を行い直したため、遅れが見られていた。しかし、現在は有意な膵発癌抑制効果をロイコトリエン受容体拮抗薬に見いだし、計画通りCD206陽性細胞の低下、アレイ解析を行っている。そのため解析の遅れはやや取り戻している状態と考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
計画段階においては、遺伝的背景の乏しさからプロテオーム解析を行う事を想定していた。しかし、Chinease hamster ovaryからの推定などから遺伝子アレイをかけることができることを確認し、遺伝子アレイに変更をしている。 そして、現在アレイ解析を行った結果から、重要な候補遺伝子の抽出を行っている。抽出した遺伝子に対し、ヒト検体などで検討していくが、現在平行してtissue arrayを作成し、その作業はほぼ終了している。そのため、抽出した遺伝子やタンパクに対し速やかにin vivoからヒト検体まで応用させることが可能であり、現在の方法で推進していく。
|
Research Products
(8 results)