2018 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of cellular dynamics and function of Wnt-responding cells which constitute the thymic microenvironment in mice
| Project/Area Number |
17K15740
|
|---|
| Research Institution | The University of Tokushima |
|---|
Principal Investigator |
藤森 さゆ美 徳島大学, 先端酵素学研究所(プロテオ), 助教 (20589717)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
| Keywords | Wnt / 胸腺 / 胸腺上皮細胞 / 細胞分化 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
胸腺におけるT細胞の増殖・分化・成熟は、胸腺微小環境を構築する胸腺上皮細胞との連続的な細胞間相互作用により、多段階を経て執り行われるが、この過程では、各段階で機能する特定の分子を発現する胸腺上皮細胞の存在が不可欠である。本研究では、マウス胸腺を構成する胸腺上皮細胞のうち、Wnt/β-cateninシグナル伝達系を活性化する細胞群が、T細胞産生に適した胸腺微小環境の構築や、生後の胸腺上皮細胞の安定供給に特定の役割を担う可能性を追求するため、本年度は、胸腺上皮細胞でWnt/β-cateninシグナル伝達系の活性制御が可能な遺伝子組み換えマウスの作出と表現型の解析を行った。胸腺上皮細胞特異的なβ5t-Creマウスを用いてβ-catenin欠損マウスおよびβ-catenin機能亢進マウスを作出し、胸腺上皮細胞でWnt/β-cateninシグナル伝達系の入力を制御した場合の胸腺微小環境の変化について、免疫組織化学的解析やフローサイトメトリー解析により評価した。その結果、胸腺上皮細胞特異的なβ-catenin欠損マウスでは、胎生期から生後にかけて胸腺内で産生されるT細胞の総数が低下する一方で、胸腺上皮細胞特異的なβ-catenin機能亢進マウスでは、胸腺の形成異常により胸腺内でのT細胞分化が障害されることが明らかとなった。
本研究で得られた以上の結果から、胸腺上皮細胞では、Wnt/β-cateninシグナル伝達系の微調整により、胸腺上皮細胞の正常な分化や胸腺内でのT細胞の産生量が制御されることが明らかになり、Wnt/β-cateninシグナル伝達系の緻密な制御が、胸腺微小環境の初期構築および生後のT細胞産生に関わる胸腺上皮細胞の安定的供給に必須であることが示された。
|
Research Products
(2 results)
