2017 Fiscal Year Research-status Report
医療における良心的拒否を通じた権利擁護の射程と限界に関する日米比較調査
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17K15749
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Research Institution | Ishikawa Prefectural Nursing University |
Principal Investigator |
加藤 穣 石川県立看護大学, 看護学部, 准教授 (20727341)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 医療 / 良心的拒否 / 権利擁護 / 日米比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳死判定・輸血・ワクチン接種等が良心に基づいて拒否されることがある。そのような医療における「良心的拒否」について、本研究は基本的にアメリカ合衆国の事例・議論を参照しながら医療における良心のあり方・役割を検討するものである。本研究は(i)文献・判例検討、(ii)社会調査、(iii)比較・総合から構成されるが、当初の計画では、29年度は(i)を中心に行い、並行して(ii)の準備を行うものとしていた。(i)については文献等の資料の探索・収集および読み込みを進めた。文献等の資料を整理するために導入したソフトウェアの習熟、(ii)については30年度以降に実施する調査のために新たに採用する研究手法とそれに対応するソフトウェアの習熟等に時間を割いた。(ii)について、現時点では具体的な研究対象候補者等の選定・コンタクト等まで進める段階にまで到達することができなかった。ワクチン接種拒否に関する研究内容については、アメリカ合衆国でのありかたと、(日本の状況に関する文献資料等の状況を考慮すると日米での比較は現実的でなかったため)他国での広がりを文献を用いて調査し、3月二開催された国際学会(The Asian Conference on Ethics, Religion & Philosophy)において口頭発表を行った。この発表をもとに、すでに(2018年度に入ってから)英字誌への投稿プロセスを開始した。その中で、研究文献等に見いだされるワクチン接種拒否の世界的広がりとアメリカ合衆国の状況との比較、研究文献等において報告されている拒否理由等についてこれまで明らかになった事柄を報告している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画に基づき、文献等の資料の探索・収集および読み込みを進めたが予定より難航した。新たに導入したソフトウェアによる情報の整理、また30年度以降の社会調査のために新たに採用する研究手法およびそれに対応するソフトウェアの習得を進めているが、予想以上に時間を取られた。(ii)について、研究対象者等の選定・コンタクト等まで進めることができれば理想的であったが現時点ではそこまで到達していない。
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Strategy for Future Research Activity |
英字誌へ投稿中の研究については今後の査読の結果をもとに掲載を目指す。当初の計画よりやや遅れてはいるものの、基本的には計画に沿って、文献等の資料の探索・収集および読み込みをさらに進め、これと並行して、集めた資料も参照しながら、医療に自らの信念を反映させようとするグループや脳死判定拒否に関する立法に関与した研究者、また、実際に臨床で対応する医療者に対して調査を遂行するために、対象候補の選定・具体的質問内容の準備・倫理審査・コンタクト・スケジューリングを進めていく。収集した資料等にもとづきひとまとまりの研究として発表可能な部分について随時学会発表の準備および論文化を進める。
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Causes of Carryover |
参加した国際学会が年度末に予定されていたため、細かい調整を年度内に行う時間がなかった。外国語の文献の平均単価が想定していたより高額であったため、資料の収集に当てることを予定している。
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Research Products
(1 results)