2019 Fiscal Year Research-status Report
室内環境中におけるイソシアネートの新規評価法の開発と汚染実態の調査に関する研究
Project/Area Number |
17K15861
|
Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
戸次 加奈江 国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (00722084)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | イソシアネート / 室内空気 |
Outline of Annual Research Achievements |
H31年度及び令和元年度は、前年度までに確立した空気中イソシアネートの新規捕集法(GFF_SCX-DBAカートリッジ)及び分析法を用い、一般家庭におけるイソシアネートの汚染実態調査及びアンケート調査から、住宅環境や生活習慣と化学物質濃度との関連性について調べた。本研究では、NPO法人VOC研究会に調査協力を依頼し、医療機関でアレルギーや化学物質過敏症と診断された患者を中心に、被験者55名に調査協力を依頼し、住環境や健康状態に関するアンケート調査を実施した。またそのうち環境測定の承諾が得られた被験者のうち6名を対象に、2019年12月~2020年1月のうちの1週間で住宅の室内外の空気測定を実施した。調査の結果、いずれの住宅からも主に燃料燃焼(自動車、暖房器具)により発生するイソシアン酸(ICA)が室内及び屋外で比較的高濃度検出され、他の成分ではプロピルイソシアネート(PIC)、フェニルイソシアネート(PHI)及びメチルイソシアネート(MIC)が検出された。これら3成分については、住宅、地域、室内外での検出の有無に差が見られ、これについてアンケート調査結果との関連性について考察したものの、住環境や生活習慣との有意な関連性は見られなかった。さらに、対象とする被験者1名の住宅において、微量ながらも高い有害性を持つトルエンジイソシアネート(TDI)が室内で検出された。現在、この発生源を調べるための再測定を依頼しており、測定方法の改善も含めた再調査を次年度行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、これまでに確立した測定方法を論文として発表し、また、研究成果について学会や専門委員会等で情報発信することができた。また、今年度予定していた一般環境下での環境調査は予定通り終了したものの、本調査により得られた結果から、特に有害性の高いトルエンジイソシアネート(TDI)に関する室内の発生源や再現性に関する新たな測定が必要となったため、研究期間を延長することとなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
トルエンジイソシアネート(TDI)が検出された被験者の自宅を含む数名の自宅において再度環境測定を実施する予定である。これにより、生活習慣や室内の家具家電製品なども含めた住環境と室内濃度との関連性について改めて詳細な調査を行う。またさらに、これまで実施した8時間の測定時間を24時間~1週間に変更し、イソシアネートの測定により適した測定条件を検討する。
|
Causes of Carryover |
今年度予定していた環境調査は、測定器の台数が限られていたこともあり、十分な数の調査を実施することができなかった。また、今年度得られた調査結果から、室内のイソシアネートに関するより詳細な発生源や再現性を調べる必要性が生じたため、以下の計画により残額を使用する予定である。トルエンジイソシアネート(TDI)が検出された被験者の自宅を含む数名の自宅において再度環境測定を実施する予定である。これにより、生活習慣や室内の家具家電製品なども含めた住環境と室内濃度との関連性について改めて詳細な調査を行う。またさらに、これまで実施した8時間の測定時間を24時間~1週間に変更し、イソシアネートの測定により適した測定条件を検討する。
|
Research Products
(3 results)