2018 Fiscal Year Research-status Report
CD38抑制によるSirt3活性化を介した糖尿病性腎症の新たな治療法の検討
Project/Area Number |
17K16104
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
小倉 慶雄 金沢医科大学, 医学部, 助教 (30760409)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 糖尿病腎症 / ミトコンドリア / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はCD38の抑制が細胞内NAD+量の増加がSirt3の活性化を通してミトコンドリアの恒常性を維持し、腎症の抑制効果を発揮し治療標的となり得るかを明らかにすることを目的とした研究を行っている。 期間内に糖尿病腎で発現の増加を認めるCD38の抑制によるNAD+およびSirt3活性の増加が腎症の新たな治療標的となりうるかを、1)2型糖尿病Zucker diabetic fatty (ZDF)ラットに対するCD38阻害薬(アピゲニン)の腎症抑制効果、2)CD38ノックアウトマウスにおける高脂肪食負荷誘導性腎障害の軽減効果、 3)CD38阻害薬(アピゲニン)、siRNAによるCD38ノックダウンがヒト近位尿細管細胞株(HK2細胞)における高ブドウ糖誘導性ミトコンドリア障害をSirt3の活性化を介したミトコンドリア恒常性維持により改善することを明らかにする予定である。 ZDFラットおよび非糖尿病ラットに4週間のCD38阻害薬(フラボノイド「アピゲニン」 40mg/kg/日、連日経口投与)の投与を行い、糖尿病腎において認められるミトコンドリア機能異常・恒常性の破綻の改善、腎障害の進行抑制、全身の酸化ストレス軽減、糖尿病腎尿細管細胞内のミトコンドリアに見られた形態異常の改善を観察することができ、CD38阻害が腎症進展抑制になりうる可能性を示せた。細胞実験においても同様の効果が確認でき、現在解析進行中である。 途中報告として平成30年度の第61回日本糖尿病学会総会、第78回アメリカ糖尿病学会議、第54回欧州糖尿病学会議にて発表した。昨年度までの研究実績を論文化し、2018年のRedox reports誌にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々は期間内に、 1)2型糖尿病Zucker diabetic fatty (ZDF)ラットに対するCD38阻害薬(アピゲニン)の腎症抑制効果、2)CD38ノックアウトマウスにおける高脂肪食負荷誘導性腎障害の軽減効果、3)CD38阻害薬(アピゲニン)、siRNAによるCD38ノックダウンがヒト近位尿細管細胞株(HK2細胞)における高ブドウ糖誘導性ミトコンドリア障害をSirt3の活性化を介したミトコンドリア恒常性維持により改善することを明らかにする予定であった。 今年度のうちに昨年度までの途中経過を論文化し発表することができた。 また、今年度の経過として、先に示した計画のうち1),3)については国際学会を含めた場で発表することができ、一定の反応を得ることができた。 ノックアウトマウス作成は今年度中に作成はできなかったが、現在モデル作成について討論を開始しており、来年度中には作成・実験開始ができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、CD38の抑制が細胞内NAD+量の増加がSirt3の活性化を通してミトコンドリアの恒常性を維持し、腎症の抑制効果を発揮し治療標的となり得るかを明らかにすることを目的とし、来年度はCD38ノックアウトマウス、ヒト近位尿細管細胞株(HK2細胞)を用いた研究を継続する。 また使用する薬剤においては今年度Cell metabolism誌においてCD38特異的阻害薬78cを使用した研究成果が発表されており、当研究においてもCD38の抑制効果の面から、使用を考えており研究計画に若干の変更・追加が生じる可能性がある。現在78cに関しては入手を試みている状態である。 研究成果においては学会発表・論文化を通して広く報告を行っていく。
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