2017 Fiscal Year Research-status Report
極低出生体重児における神経発達障害と脳内ネットワークの関連
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17K16296
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
三谷 裕介 金沢大学, 附属病院, 講師 (50622817)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脳機能測定 / 極低出生体重児 |
Outline of Annual Research Achievements |
極低出生体重児の生命予後の向上が著しい一方、一見順調な発達を示している極低出生体重児の多くが、自閉スペクトラム症や注意欠陥多動障害、学習障害、知的障害などの神経発達障害のために支援を必要としていることが、近年の研究で明らかとなっている。このため、周産期脳障害がどのような脳内基盤に基づいて生じているかを明らかにするべく、就学前の極低出生体重児において、行動モニターによる客観的行動分析、脳機能測定を用いた生理学的手法を用い、脳内基盤を数値化しようと研究を開始した。 平成29年度において、極低出生体重児15名を対象に解析を行った。被験者の月齢は73.1±3.85ヶ月、男女比1:4、平均在胎週数は28.1±1.7週、出生体重は972±300gであった。全例NICU退院前である修正37-41週にて頭部MRIを撮影されていた。全例で嚢胞性脳室周囲白質軟化症(以下cPVL)、脳室内出血(以下IVH)の所見は認めなかったが、2名で軽度白質病変を示唆する側脳室前角の拡大をわずかに認めていた。K-ABCでは認知処理指数 95.7±17.2、習得度指数 99.4±17.7であった。K-ABCにて低スコアを認めた2例はDD双胎児であり、1名は女児で知能障害域、他児は男児で境界知能域であった。頭部MRI病変との関連は認めなかった。女児においては、絵画語彙発達検査でも発達指数 57と低値であったが、知能障害児においては発達指数 99とプロフィールの差を認めた。ADOS検査にて自閉スペクトラム症に該当する児は2名で、1例は正常知能域、1例は前述の境界知能域男児であった。脳機能測定においては、脳磁図で安静時脳波活動に異常を認める児は存在しない一方で、P1mの閾値や潜時にはばらつきが認められた。 今度もサンプルを増やし、統計学的解析をすすめる必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
被験者に対しては、各組織が機能的に連携し、予定された認知機能社会性評価(ADOS、K-ABC)、聴覚評価、MEGによる脳機能評価の遂行が可能であった。 平成29年度に極低出生体重児50例をリクルートする研究結果であったが、被験者が十分に集まらず15名の解析となった。特に関連病院に通院している患児が対象として含まれにくい傾向であった。また脳磁図の運用面でも、検査の維持に必要な人的・時間的・費用的労力が大きく、春夏季での週1回程度の検査運用が限界であった。
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Strategy for Future Research Activity |
脳磁図の運用においてスタッフや稼働期間の最適化を行い、被検対象限度数の増加に努める。そのうえで近隣関連期間との調整を行い、被験者のリクルートを増やすこととする。
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Causes of Carryover |
液体ヘリウムの購入費が想定を下回った。今後脳磁図の稼働期間を延長するため、購入費の増加が予想される。人件費・謝礼費が現時点で未払い。被検対象者数が想定より減少すれば、当初計画された必要経費には達しない可能性がある。学会参加、論文掲載にともない、その他経費が増加する見込みがある。人件費謝礼費で経費減少があればその他経費に充てる方針。
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