2018 Fiscal Year Research-status Report
隔離飼育ラットの社会性障害に対するオキシトシンの治療効果
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17K16384
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
田中 健二朗 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 助教 (30552260)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 社会的隔離 / 社会的嗜好性 / オキシトシン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではこれまでに、雌性ラットの幼若期における社会的隔離が成熟後の社会的嗜好性を消失させることを行動学的に明らかにした。さらに脳の組織学的解析において社会的隔離による視床下部オキシトシン産生細胞の活動性の低下を認めたことから、同モデルの社会行動異常に脳内オキシトシン系が関わっている可能性が示唆された。そこで本年度はこれまでの知見に基づき、同モデルの社会行動異常がオキシトシンの補充によってリカバリーされるかどうかについて行動試験を用いて評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
幼若期隔離飼育ラットの社会行動異常に対するオキシトシンの治療効果を検証するために、単独飼育群に対して合成オキシトシン(0.1 mg/kgまたは1 mg/kg)を腹腔内投与し30分後に社会不安行動を測定した。しかしながら、オキシトシンによる明らかな治療効果は認められなかった。また同様に社会的嗜好性試験を行ったが、有意な効果は認められなかった。これらの結果を受けて現在、実験条件の再検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
オキシトシンによる社会行動の制御は同ペプチドの中枢神経作用であると考えられている。そこでオキシトシンを脳室内に投与し、隔離ラットの社会行動異常への治療効果を評価する。また隔離飼育による慢性的なオキシトシンの欠乏は脳の発達に伴う構造的な変化を損なわせる可能性がある。すなわち脳内オキシトシン系が未熟なまま発達を終えた場合、外因性のオキシトシンによる急性的な効果は得られないかもしれない。したがって隔離飼育中にオキシトシンを継続的に補充しなければ治療効果を得られない可能性がある。今後はそれらの点を踏まえて実験条件を調整していく予定である。
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Causes of Carryover |
国際誌へ投稿した論文の審査が想定よりも遅れているため、今年度に掲載費として計上していた予算を次年度に持ち越すこととした。
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