2018 Fiscal Year Research-status Report
社会的意思決定の特徴から検討するASDとADHDの鑑別と併存
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17K16398
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
藤野 純也 昭和大学, 発達障害医療研究所, 講師 (90783340)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 発達障害 / 意思決定 / 行動経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉スペクトラム症(ASD)群 、定型発達(TD)群を対象に、埋没費用(事業や行為の中止を行っても戻ってこない資金や労力)が関わる状況下での意思決定を調査した。ASD群 27人、TD群29人のデータを解析したところ、ASD群ではTD群と比較して、埋没費用効果が低下していた。また、TD群では、埋没費用の増加に伴って、埋没費用効果に関するスコアも上昇したが、ASD群でそのような現象はみられなかった。また、ASD群では、TD群と比較して、課題中の選択反応時間も埋没費用に影響を受けにくかった。ASDでは、埋没費用が関わる状況下において、文脈感受性が低く、合理的な意思決定を行うことが示唆された。 また、ASD群 、TD群を対象に、認知的完結欲求(Need for closure)と認知的柔軟性の関連を調べた。ASD群ではTD群と比べて、Need for closure scaleの5つのsubscaleの中で、preference for predictabilityとclosed-mindednessが高く、decisivenessが低い結果であった。また、ASD群とTD群のどちらの群においても、これら3つのsubscaleが認知的柔軟性と有意な相関を認めた。ASD, TDどちらにおいても、認知的柔軟性に、認知的完結欲求、特に上記3つのcomponentが重要であり、CBTなどの介入を検討する上で有用な知見となることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
被験者リクルート、データ収集、解析などおおむね予定通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果から、自閉スペクトラム症では、多様な葛藤場面で合理的な意思決定を行うものの、文脈を考慮して柔軟に行動選択することへの困難さが示 唆される。今後、機能的MRIなどを用いて、意思決定の背景にある神経メカニズムを検証していく。また、注意欠如多動性症の意思決定パターンとの比較も行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
文房具の消耗が予想より少なく、次年度使用額が生じた。次年度、ボールペンやファイルなどの文房具に使用予定である。
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Research Products
(4 results)