2017 Fiscal Year Research-status Report
肝動脈塞栓療法後の腫瘍新生/進展効果の評価および抑制方法の探索
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17K16441
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
上嶋 英介 神戸大学, 医学部附属病院, 特定助教 (40645561)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 動脈塞栓術 / サイトカイン / 低酸素 / 肝細胞癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の予定では、VX2腫瘍担癌ウサギを使用する予定であったが、より臨床に近い条件にするため、ラット肝細胞癌を用いて研究を行うこととした。In vitroにて、ラット肝細胞癌細胞(N1S1)を低酸素培養し、48時間後のHGFおよびTGF-b1の産生・放出能を調べた。常酸素培養群と比べ、HGFの放出には差異はみられなかったが、TGF-b1の放出は有意に増加した。 また、HIF-1aブロッカーを用いて、低酸素培養下でのHIF-1a発現を抑えた上で、TGF-b1の発現を検討した。この条件下では、TGF-b1の発現が有意に抑制された。同結果より、TGF-b1の発現上昇は、低酸素刺激によるHIF-1a上昇による影響を受けている可能性が示唆された。N1S1細胞をラット肝臓に移植し、1週間後に軽カテーテル的動脈塞栓術を施行した。施行後48時間でサクリファイスを行い、採血および癌病変部を含めた肝検体を摘出した。これらの検体を用いて、免疫染色、ELISA、Western blottingおよびPCRにて、各検討項目の解析を行っている。免疫染色では、治療後病変の周囲に免疫細胞浸潤が見られると共に、TGF-b1およびHIF-1aの強発現が見られた。周囲肝実質および治療された病変の内部には、これらの発現は乏しかった。次いで、ELISAにてTGF-b1濃度を測定したが、in vitroのデータとは異なり、in vivoでは全身末梢血中のサイトカイン濃度には変化は見られなかった。これらの結果より、動脈塞栓術によるTGF-b1の発現は局所で強く生じ、全身への影響は少ない可能性が示唆された。その他の項目に関しては、現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画書では、in vivoからの実験を予定していたが、in vitroでの癌細胞の低酸素応答の確認を行った。これにより数ヶ月程度の遅れが生じたが、より良い結果を得るため、また動物愛護の点からも賢明な判断であったと考えれる。以後の研究進捗は順調と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
In vivo実験で得られた検体の解析をすすめる。解析結果を踏まえ、次いで治療後のlong term studyを行い、肝細胞癌の再発、survivalについて検討を行う。最終的には、TGF-b1阻害薬あるいはHIF-1a阻害薬を用いて、再発の抑制および生存期間の延長に寄与するか判断する予定である。
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Causes of Carryover |
In vitro実験を行ったことにより当初よりもin vivo 実験の開始が遅れている。前年度に行えなかったin vivo実験用の経費として165,899円を次年度に繰越して使用する。
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Research Products
(1 results)