2019 Fiscal Year Annual Research Report
Drug re-positioning screening by using a novel assessment method
Project/Area Number |
17K16548
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
野口 侑記 兵庫医科大学, 医学部, 病院助手 (30771042)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 腫瘍内微小環境 / 免疫チェックポイント分子 / ドラッグリポジショニング / BiTE / テトラサイクリン系抗菌薬 / デメクロサイクリン |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍内微小環境は腫瘍に対して免疫抑制状態にあり、腫瘍特異的な免疫反応を再賦活化することで抗腫瘍効果が期待できる。その戦略で開発・実践されている治療法が免疫チェックポイント分子を標的にした生物学的製剤である。これらの薬剤は効果が期待される反面、非常に高価であることから医療経済的な問題が浮上している。そこで免疫チェックポイント分子標的薬に代わり、同じように腫瘍微小環境の腫瘍特異的な免疫反応を賦活化することができる薬剤を、従来他の疾患の治療薬として開発された安価な既存薬の中から探し出し、ドラッグリポジショニングを行うことを目的に本研究を開始した。 当研究室ではBispecific T-cell Engager(BiTE)を用いた新しい評価系で腫瘍内微小環境を模式的に再現し、それを用いて約1300種類の既存薬からリンパ球賦活効果のある薬剤のスクリーニングを行った。特にテトラサイクリン系の抗菌薬であるデメクロサイクリン(DMC)が有力候補に挙がり、さらに詳細に免疫賦活作用について解析した。その結果、DMCはリンパ球の分裂を促す量的効果と、IFNγなどの抗腫瘍効果を示すサイトカインの産生を増強するという質的効果を共に持っていることが分かった。この賦活化効果は担癌患者から採取・単離した微小環境内のリンパ球を用いた実験でも同様に確認できた。さらにCT26細胞を用いたマウスモデルでin vivoでの効果も検証したところ、PD-L1阻害薬にDMCに追加したグループで有意に腫瘍増大が抑制されることが示され、この効果はリンパ球をdepleteした系ではキャンセルされてしまうことから、リンパ球を介して生じていることが示唆された。その上、PD-L1阻害薬にDMCを追加したグループでは末梢血中に腫瘍特異的リンパ球の割合が有意に上昇していた。
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