2017 Fiscal Year Research-status Report
iPS由来心筋細胞移植後の自然免疫による拒絶メカニズムの解明とその治療法の開発
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17K16591
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 優貴 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (70793313)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 自然免疫 / NK細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではMHC一致モデルによる自然免疫応答に伴う移植後拒絶反応が移植細胞の生着に及ぼす影響を検討した。方法としてはC57BL/6由来iPS細胞を心筋細胞へ分化誘導し、心筋細胞シートを作成し、C57BL/6マウスの皮下へ移植した(同種移植)。移植iPS心筋細胞部位に浸潤する免疫細胞(NK細胞、Tリンパ球、顆粒球、マクロファージ)を免疫組織染色により検討した結果、NK細胞の心筋細胞シートへの著明な浸潤を認めた。そのためdepletion抗体にてマウス生体内のNK細胞を除去した群とコントロール群との移植細胞の生着を比較したところ、NK細胞除去したマウスにおいてより良好な移植細胞の生着を認めた。またコントロール群では生体内のNK細胞の活性化を認めた。次にiPS細胞由来心筋細胞上に発現するNK細胞の活性化または抑制を促すリガンドの発現をFACSにて解析したところ抑制性リガンドであるMHC class1の低発現と活性化リガンドであるCD226に対するリガンド(CD112, CD155)とNKG2Dに対するリガンド( RAE-1)の発現を認めた。最後にiPS細胞由来心筋細胞とNK細胞をin vitroで共培養し、NK細胞のiPS細胞由来心筋細胞に対する細胞障害性を検討した。iPS細胞由来心筋細胞培養中にIFN-γを加えることでMHC class1発現を誘導することやCD226や NKG2Dを介した活性化経路を阻害することで、その細胞障害性が抑制された。本研究において、iPS細胞由来心筋細胞移植後のNK細胞による拒絶反応がその生着を阻害することが明らかになった。またこの拒絶反応を抑制するためにMHC class1発現の誘導やCD226とNKG2Dを介した活性化経路の阻害が重要である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は概ね順調に進展している。 iPS細胞の分化誘導効率が不安定であることや、移植後腫瘍形成する個体もあった。しかしNK細胞による自然免疫応答と移植細胞の生着について明らかにできたため。
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Strategy for Future Research Activity |
in vivoでもin vitroと同様にNK細胞の細胞障害性を抑制し、移植細胞の生着を延長するか検討する。 実験より得られたデータから解析を行い、論文作成を行う。
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Causes of Carryover |
(理由) 予定より、組織の染色やデータの解析にかかる費用等を節約することができたため (使用計画) 次年度は、これまでに繰り越してきた費用を用いて、データの解析あるいはin vivoの追加実験を行う予定である
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