2017 Fiscal Year Research-status Report
膠芽腫細胞株におけるEphB4受容体のシグナル解析及び前臨床試験
Project/Area Number |
17K16636
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
河原 庸介 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (80646688)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | EphB4 / 膠芽腫 / ephrin-B2 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】脳原発腫瘍であるグリオーマの中でも膠芽腫は極めて予後不良の腫瘍である。近年悪性腫瘍の特性に関与する重要な受容体が明らかになり、それらを阻害する薬剤の臨床開発が進んでいる。本研究では膠芽腫におけるEphB4受容体の作用を解明し、さらに動物実験から、EphB4阻害による新規膠芽腫治療の可能性を探る。 【方法と結果】EphB4高発現のグリオーマ細胞にて、リガンドあるephrin-B2/Fcを添加。EphB4がリン酸化することを免疫沈降法によって確認した。EphB4高発現グリオーマ細胞にてephrin-B2/Fc添加は遊走能・浸潤能の低下を引き起こすことをScratch assay、Invasio assayにて確認した。EphB4低発現グリオーマ細胞を作製した。EphB4低発現細胞にephrin-B2/Fcを添加しても遊走能・浸潤能の低下は認められなかった。EphB4リン酸化によるシグナル伝達経路の解明のため遊走・浸潤に関与すると考えられる分子をwesternblottingにて評価した。ephrin-B2添加はEphB4高発現グリオーマ細胞にてAktリン酸化を抑制した。またEphB4低発現細胞ではAktリン酸化の抑制は認めなかった。 【結論】リガンド依存性EphB4シグナルはAktリン酸化を抑制することにより遊走能・浸潤能を低下させることが示唆された。今後文献的考察を含めた標的分子としての妥当性評価が必要である。その他腫瘍検体におけるEphB4シグナルの作用部位の特定、また動物実験による抗腫瘍効果の検討などが必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
EphB4シグナルメカニズムの解析としてAktの関与が考えられたがその他の経路に関しては明らかな変化が見いだせていない。EphB4シグナルの細胞特性変化の解析は順調に進行している。脳正常部分と腫瘍との境界を含む腫瘍検体が限られており統計学的解析には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
EphB4シグナルメカニズムのさらなる解析を膠芽腫細胞で行う。また現在までに得られた腫瘍検体を元にEphB4シグナルの作用部位の特定、発現量、予後などを解析する。それらの結果をふまえ動物実験によるEphB4シグナルによる抗腫瘍効果を検討する。
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