2018 Fiscal Year Research-status Report
オッセオインテグレーションに関与するmicroRNAの同定
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17K17174
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
岩脇 有軌 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (10754624)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | microRNA / 骨芽細胞 / チタン / 表面処理 / オッセオインテグレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
microRNA (miRNA)はmRNAの切断や翻訳抑制を行っており、細胞増殖、分化、発生等多くの生理現象へ影響を与えている。一方、チタンと骨が結合するオッセオインテグレーションには骨芽細胞の接着・分化・増殖が関与していることが知られているが、その全ての分子機序が解明されているとはいえず、そこにはエピジェネティクス機構の一つであるmicroRNA(miRNA)の遺伝子発現調節が関与する可能性がある。本研究ではmiRNAがオッセオインテグレーションにおける骨機能変化のシグナル分子の一つであることを検証し、オッセオインテグレーション獲得の指標または促進させる薬剤標的としてのmiRNAの可能性を探ることを目的としている。 本年度は前年度同様、滑沢チタンプレート、サンドブラスト処理チタンプレート、酸エッチング処理チタンプレートの3種類の各種表面処理された試験片を準備し、各試験片の表面像の観察及び表面粗さの測定をレーザー顕微鏡にて行った。表面像の観察では、滑沢チタンプレートに比較しサンドブラスト処理チタンプレートまたは酸エッチング処理チタンプレートにおいて明らかな表面の粗さが確認でき、表面粗さは算術平均粗さ(RaおよびSa)にて測定され滑沢チタンプレートが一番小さく、酸エッチング処理チタンプレートが一番大きくなった。 次に、前年度Nano dropおよびバイオアナライザによって品質評価まで行った各試験片上で培養したMC3T3-E1より抽出したTotal RNAを用い、マイクロアレイにて網羅的検索を行った。解析にはGene Spring 14.9.1を用い、コントロールと比較し1.5倍以上発現上昇または低下を認めたmiRNAを各試験片において確認した。これらをオッセオインテグレーションに関与するmiRNAの候補とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
異なる3種類の表面処理を行ったチタン試験片において、前回測定したポータブル表面輪郭ゲージSRT-6223よりもより詳細な表面粗さを測定するためレーザー顕微鏡を用いて表面像の観察および算術的表面粗さの計測を行った。また、前回Nano dropおよびバイオアナライザにて品質に問題がないことを確認したTotal RNAを用い、マイクロアレイによる網羅的検索およびGene Spring 14.9.1による解析を行い、オッセオインテグレーションに関与する可能性を持つmiRNAの候補を確認するところまで研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まず発現変動が認められた候補miRNAについて、RT-qPCRによって発現変動の確認を行う。次に、マイクロアレイ解析、RT-qPCRの両者で発現変動が認められたmiRNAをオッセオインテグレーションに関与するものと考え、miRDBやTarget Scanなどのデータベースを用いて標的mRNA候補を検索・予測する。その後、標的mRNAおよび翻訳されたタンパク質が実際に変動を認めるかRT-qPCRやWestern Blotで確認していく。 またMC3T3-E1のフェノタイプへの影響において、染色法などを用い細胞分化についても検討をしていく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度行った研究では、マイクロアレイ解析において大きな費用が必要となったが、その他の研究内容については既存の設備や試薬を使用することが出来たため次年度使用額が発生することとなった。次年度は多数の候補miRNAに対してRT-qPCRやウエスタンブロットなどの実験を行う予定であり、試薬や抗体および多くの消耗品に対して使用する予定となっている。
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