2017 Fiscal Year Research-status Report
補綴治療患者のオーラルフレイル予防を目指した口腔乾燥症治療イノベーション
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17K17184
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
近藤 祐介 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (00611287)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 唾液腺 / 口腔乾燥症 / 加齢 / フレイル |
Outline of Annual Research Achievements |
フレイルとは高齢者の筋力や活動が低下している状態であり,歯科口腔領域においては食環境の悪化から始まる筋肉減少を経て生活機能障害に至るものをオーラルフレイルと呼ぶ.オーラルフレイルを引き起こす要因は様々であるが,加齢に伴う唾液腺の機能低下も一因となる.超高齢社会に突入した本邦ではフレイルに陥る高齢者は飛躍的に増加することが予想される.そこで我々は,高齢者における唾液腺機能低下のメカニズムを解明し治療法を開発することにより,オーラルフレイルを予防することを目的とし,本研究を立案した. 研究には16週齢と48週齢の老化促進モデルマウスであるSenescence-Accelerated Mouse Prone 1 (SAMP1) を用いた.In vivo 解析において16週齢と48週齢のSAMP1を比較すると,耳下腺唾液量は同等であったが,顎下腺唾液量は48週齢で有意に低下した(p=0.005).Ex vivo顎下腺灌流モデルにおいても,副交感神経刺激による顎下腺からの分泌量は48週齢で有意に低下したが(p=0.036),副交感神経刺激と交感神経刺激を同時に行ったところ唾液分泌量は16週齢と48週齢で同等であった.一方,細胞内Ca2+濃度を評価したところ,副交感神経単独刺激および副交感神経,交感神経同時刺激のいずれにおいても16週齢と48週齢で同等であった.HE染色においては,顎下腺では48週齢でのみリンパ球浸潤の増加が確認され,耳下腺では16週齢と48週齢いずれにおいてもリンパ球浸潤は認めなかった.免疫組織化学では耳下腺,顎下腺ともに16週齢と48週齢においてAQP5,NKCC1,TMEM16Aそれぞれの発現に明らかな差はみられなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In vivo,Ex vivo,細胞内Ca2+シグナリング,組織学的解析を終了し,耳下腺機能は加齢による影響を受けないが,顎下腺からのムスカリン性刺激による水分泌能は低下することが明らかになった.
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Strategy for Future Research Activity |
qPCRやウエスタンブロッティングなどを用いて加齢により顎下腺機能が低下する原因の詳細を解明したのち,論文を投稿する予定である。
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Research Products
(2 results)