2017 Fiscal Year Research-status Report
MPCポリマーコーティング義歯による口腔内細菌バイオフィルム抑制効果の網羅的検証
Project/Area Number |
17K17188
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
高橋 那奈 昭和大学, 歯学部, 助教 (80635061)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | バイオマテリアル / MPC / デンチャープラーク / 義歯 |
Outline of Annual Research Achievements |
可撤性の義歯床表面に付着するデンチャープラークは、残存歯の齲蝕や歯周病の原因となるだけではなく、全身状態が低下している場合では誤嚥性肺炎や感染性心内膜炎といった全身疾患の発症にも関連すると考えられている。これらデンチャープラークによる口腔内や全身への為害作用を防止するため、MPC(2-methacryloyloxyethyl phosphorylcholine)という高分子ポリマーを義歯床表面にコーティングすることで、デンチャープラークの付着およびバイオフィルムの形成抑制をすることが本研究の大きな目的である。 そのため、前段階としてデンチャープラークの挙動を理解することが必須と考え、義歯の管理状態とデンチャープラーク内の細菌叢の関連性を次世代シークエンサーを用いて評価することとした。 昭和大学歯科病院補綴歯科外来を受診した上顎全部床義歯装着患者のうち、研究の主旨に同意の得られた22名に対し、義歯の管理状態についてのアンケート実施および義歯床表面のデンチャープラーク採取を行った。デンチャープラークは次世代シークエンサーによって細菌叢の解析を行いアンケート結果との比較検証した。その結果、デンチャープラーク内の細菌はStreptococcus属、Veilonella属、Neisseria属、Prevotella属の順で多かった。また義歯の清掃頻度が高い等の管理状態が良好であるほどデンチャープラークの生物多様性が低い傾向がみられた。 また、MPCポリマーの効果についても評価を行ったところ、バイオフィルム形成量としては減少がみられたものの内部の細菌叢に大きな変化はないという結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度研究計画にて予定していた、デンチャープラーク中の上位菌種の特定およびそれらへのMPCコーティング有効性の有無の評価という段階までおおむね進めているため、”おおむね順調に進展している。”との区分とした。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に今後も研究計画に基づいて研究を進めていく予定である。 しかし、現在予備実験から得られているデンチャープラーク中の微生物種の状況について、唾液や頬粘膜、舌といった口腔内の他部位におけるものと比較すべきであると考え、他部位からのデンチャープラーク採取および次世代シークエンス解析を行う新たな計画を検討している。 また、現在はMPCコーティングの有効性を評価するための指標として2つの検体間の類似性を示すBray-Curtis指数を用いているが、これ以外にも有効なものがあるかどうかについてもさらに検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していたよりもデンチャープラーク中の細菌叢解析に至るまでに時間がかかったこと、それに伴い消耗品購入も少なくなったこと等から、残金が生じることとなった。 平成30年度は引き続き細菌叢解析を外部業者に委託して複数回行う予定であるため、次年度使用額として計上するものである。
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Research Products
(2 results)