2018 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病病態の歯周組織におけるS100A8の役割と作用機構の解明
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17K17352
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
廣島 佑香 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (60545143)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 終末糖化産物 / 歯周病 / S100A8 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病関連歯周炎では歯周組織における終末糖化産物(AGE)の蓄積により炎症や組織破壊が促進し、歯周炎の病態が重症化する場合がある。平成29年度に不死化したヒト歯肉上皮細胞OBA-9にAGEを添加し、糖尿病病態における歯肉上皮細胞での遺伝子発現の変化について検討を行った。その結果、コントロールと比較してAGEを添加した歯肉上皮細胞においてS100A8が約2倍の増加を示した。近年、S100A8タンパクはRAGEやTLRのリガンドであると報告されているにも関わらず、S100A8自体が歯周組織の病態においてどのような役割を果たしているのか解明されていない部分が多い。平成30年度はAGEにより発現上昇したS100A8が糖尿病病態の歯周組織において炎症増悪の原因となる因子か、抗炎症因子として働くか検討を行った。 ヒト歯肉上皮細胞にAGEおよびS100A8を添加6時間後のIL-6、CCL-2、血清アミロイドA2 (SAA2)など炎症関連因子の遺伝子発現をリアルタイムPCRで調べた結果、AGEでコントロールと比較して約2倍発現増加した上記因子が、AGEとS100A8の共存下ではコントロールと同レベルまで発現が減少することが認められた。細胞上清中のタンパクレベルも同様にAGEとS100A8の共存下でAGE単独よりも減少することが認められた。また、細胞内のROSを測定した結果、AGEを添加した細胞はコントロールと比較してROSレベルは増加した。一方で、AGEとS100A8の共存下でROSはAGEと比較してさらに増加していたことからS100A8は細胞内ROSレベルを抑制せず、ヒト歯肉上皮細胞においては抗酸化作用を示さないことが明らかとなった。 S100A8はヒト歯肉上皮細胞において、炎症に関連する遺伝子を抑制し、糖尿病関連歯周炎の病態や生体防御反応に影響を与える可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歯肉上皮細胞においてAGE単独添加より、S100A8とAGEの共存下での炎症関連因子が抑制されることを明らかにした。この結果より、S100A8は抗炎症作用の一端を担っている可能性が示唆された。二年目の研究実施計画に沿った進行であるため、順調であると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、生体内でS100A8とヘテロダイマーを形成するS100A9のAGEの存在下での動態を、炎症関連因子の遺伝子発現およびタンパク発現を中心に検討し、S100A8の動態と比較することにより、S100A8のヒト歯肉上皮細胞における動態の特徴をさらに明らかにしていく。また、S100A8の存在に有無によって、糖尿病病態における歯肉上皮の酸化ストレス、アポトーシスおよび細胞分化などがどのように変化するか検討を行う。
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Causes of Carryover |
3月に納品となり、支払いが完了していないため次年度使用が生じた。 4月に支払いが完了する予定である。
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Research Products
(2 results)