2017 Fiscal Year Research-status Report
産後耐糖能が正常化した妊娠糖尿病既往女性への病診連携を活用した産後支援体制の確立
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17K17478
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山田 加奈子 大阪府立大学, 看護学研究科, 講師 (90583740)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 妊娠糖尿病 / 産後フォローアップ体制 / 病診連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
産後耐糖能が正常化した妊娠糖尿病既往女性の産後体制を確立するために、大阪府における妊娠糖尿病合併妊婦の病診連携と産後フォローアップ体制の現状について調査した。大阪府で分娩を取り扱う医療施設、全161施設に質問紙法調査を行い、57施設(30病院、27診療所)の回答を得た。57施設のうち妊娠糖尿病合併妊婦の受入れ施設は17施設(16病院、1診療所)、送出し施設は25施設(4病院、21診療所)、受入れ・送出しのない施設は15施設(10病院、5診療所)であった。 受入れ・送出しのない施設のうち病院7施設は、小児科・内科・糖尿病代謝内科の3診療科を有し、糖尿病専門医が血糖管理を行っていた。つまり、妊娠糖尿病の血糖管理に必要な診療科と専門医を有しているにもかかわらず、一部の施設では妊婦の受入れを行っていないことがわかった。また、分娩を取り扱う48施設のうち26施設(54%)は、産後の耐糖能評価を実施しており、このうち18施設は内科医もしくは糖尿病専門医が血糖管理を行っていた。産後に耐糖能が正常であった妊娠糖尿病既往女性のフォローアップを行う施設は26%であり、産後に耐糖能が正常化した妊娠糖尿病既往女性の支援システムに課題があることがわかった。産後に耐糖能が正常になった妊娠糖尿病既往女性をフォローアップする施設は、内科もしくは糖尿病代謝内科を有する施設が多いことから産後に耐糖能が正常になった妊娠糖尿病既往女性の血糖管理に関しては内科診療科でフォローアップを継続することは有用であると考える。しかし、医療者側の妊娠糖尿病への理解不足がフォローアップの脱落の原因でもあることから、送出し施設の産科診療所であれば元々通院していた施設のため居住地近くで通いやすく、妊娠糖尿病既往女性の身体的状態を把握しているというメリットからフォローアップしやすいと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
産後耐糖能が正常化した妊娠糖尿病既往女性の産後体制を確立するために、当初の計画通り、今年度の妊娠糖尿病合併妊婦の病診連携と産後フォローアップ体制の現状について明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
調査の結果から、産後の妊娠糖尿病既往女性への保健指導では「将来糖尿病になりやすいこと」92%、「産後フォローアップの重要性」69%を説明しているにもかかわらず、産後の耐糖能検査を実施する施設は少なかった。つまり、分娩を取り扱う医療機関であっても、産後の耐糖能検査実施の意識が低い現状があることわかった。 先行研究から妊娠糖尿病既往女性は2型糖尿病発症の危険因子を持つ集団であるということは明らかになっている。そのため、産後の耐糖能検査を受けない女性(未受検者)は、2型糖尿病発症の危険因子を多く含むハイリスク集団であると言える。そのため、今後は産後の耐糖能検査の未受検者の2型糖尿病発症のリスクの実態を明らかにすることが早急に必要である。未受験者の2型糖尿病発症のリスクの実態を明らかにすることで、産後の耐糖能検査を実施する意義となり、検査を実施する施設の増加につながり、最終的には受検率の向上にも寄与すると考える。
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Causes of Carryover |
(理由)妊娠糖尿病合併妊婦の病診連携と産後フォローアップ体制の現状の調査を大阪府のみの悉皆調査であったことから、データ量の関係から分析するための人件費を使用しなかったから。 (使用計画)次年度は、調査範囲を全国に拡大するため、謝金や旅費、データ分析に伴う人件費に使用する。
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Research Products
(8 results)