2017 Fiscal Year Research-status Report
高齢人工股関節術後患者の転倒予防支援プログラムの開発
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17K17528
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
佐野 かおり 大阪医科大学, 看護学部, 講師 (60399251)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 人工股関節 / 高齢者 / 転倒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、増加している高齢人工股関節術後患者に対し、転倒予防介入プログラムの作成し検討することである。 平成29年度は、高齢人工股関節置換術後患者への質問紙調査から活動状況を明らかにし、転倒リスクの要因について明らかにすることを予定していた。文献検討より転倒発生には生物学的、社会・経済的、環境的要因が関連していること、人工関節術後患者の転倒は、バランス、下肢筋力の不十分さに加え人工関節に対する認識が関連していることが予測された。また、人工股関節置換術に関する患者教育について文献検討を行い、患者教育として脱臼予防・日常生活動作の変更・習得が実施されており、転倒予防に関する教育について明らかではなく、人工股関節の特性をふまえた活動に関する指導が十分でない現状がみられた。これらの研究動向から、予定していた質問紙調査では、人工股関節置換術後患者の行動的側面に関する要因について検討に課題が残ると考えられたため、転倒状況、転倒に対する認識・転倒に関する行動を明らかにする必要があると考え、面接調査を計画した。面接調査結果から転倒要因のうち行動的側面の背景にある人工股関節と転倒に関する質問紙を作成し、質問紙調査を実施することとした。 面接調査では転倒経験のある高齢人工股関節全置換術患者の転倒に関する状況と認識を明らかにすることを目的に、倫理審査後、65歳以上75歳未満の過去1年以内に転倒経験のある人工股関節置換術後患者に対して調査を開始した。面接では「転倒による脱臼への不安」、「普段は安全に動作ができているという実感」「自分以外のできごとへの注意」「動作時環境の変化」「転倒は突発的な出来事」といった人工関節と転倒に関する認識がみられた。人工関節術後患者は、人工関節の特性を踏まえた脱臼に対する認識は高いが転倒との関連については認識が低く、転倒予防に関する指導の必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
文献検討の結果、質問紙調査前に面接調査を実施し、転倒状況と認識について明らかにすることを追加したため研究計画の変更が必要であった。そのため、研究計画の見直しに伴う面接調査の準備および所属機関・研究協力施設での倫理審査申請に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、面接調査の結果から、転倒要因の行動的側面に関する質問紙を作成し、倫理審査をうけたのち、生物学的・環境的リスクを問う質問紙とあわせて調査を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
平成29年度実施予定としていた質問紙調査が次年度実施となったため、質問紙調査に必要となる旅費・印刷費などにかかる経費使用がなく次年度使用額が生じた。本年度は、情報収集・成果発表のための学会参加費・旅費、面接調査の継続にかかる旅費、謝礼の支出ほか、質問紙調査にかかる旅費・印刷費、データ分析・管理に必要な物品の購入に使用予定である。
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