2019 Fiscal Year Research-status Report
心臓カテーテル撮影における動画倍速駆動処理技術の開発
Project/Area Number |
17K17738
|
Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
長谷川 晃 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (20749999)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 人工知能 / ディープラーニング / U-Net / 不鋭除去 / 心臓血管撮影 / 動画 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、循環器専用血管撮影装置で撮影された動画における残像や心拍動によるブレを定量的に評価し、その結果に基づいた効率的な画質改善を画像処理で行うことにより、被ばく線量を増やすことなく、鮮明な動画を取得できるようにすることである。 前年度は疑似心臓としてファントム(メトロノーム)を使用し、動きによる不鋭の除去処理をディープニューラルネットワーク(U-Net)で行ったが、本年度は実際の心臓カテーテル検査で撮影された動画を使用して、造影された冠動脈の不鋭の除去を試みた。 ファントム実験においては画像サイズが128×128 pixelであったが、心臓カテーテル検査における動画は960×960 pixelであり、そのままの画像サイズでU-Netによる不鋭除去処理を行うとメモリーオーバーを起こした。そこで、画像の切り出しや圧縮による画像サイズ縮小を試みたのちに不鋭除去処理を実施したが、圧縮ではU-Netによる処理効果がほとんど得られなかった。現行で使用しているワークステーションでは研究の続行が困難と判断し、ワークステーションの処理能力を向上させたうえで960×960 pixelサイズの動画をそのまま利用し、U-Netによる不鋭除去処理を実施した。 U-Netが960×960 pixelサイズの動画を学習するために時間がかかっており、結果が出るまでに時間を要したため、本年度は論文としてまとめるところまで行きつかなかった。ただ、現在は結果が出そろってきており、比較的良好に不鋭の除去ができていることがわかったことから、令和2年度はその結果を論文として公表し、本研究を総括する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
不鋭除去処理としてU-Netの有効性を示唆できたが、これまではファントム実験であった。実際の臨床画像を使用するにあたり、ファントムとは画像サイズを変更しなければならなかった(冠動脈が画像いっぱいに描出されているため、画像サイズを縮小することができなかった)こと、そのために画像処理を行うワークステーションのスペックが足りなくなったために画像処理ができなかったことが影響し、その対応を検討するために実験の進捗が遅くなった。 また、画像処理ができるようにワークステーションの演算処理能力を増強させたが、実際に画像処理を実施すると、ファントム実験の際よりもはるかに多くのデータを処理しなければならなくなり、結果が出るまでに大幅に時間がかかってしまった。 途中、ファントムデータによるU-Netを用いた不鋭除去処理について海外論文の投稿を試みたが、臨床評価が必要であり、検討が不十分、とのことで却下された。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度はデータをファントムから臨床画像に切り替えて、U-Netによる不鋭除去処理の有効性を検証する実験を行ったが、結果が出るまでに予定よりも遅れてしまったために、年度内に論文としてまとめることができなかった。しかしながら、実験結果はほぼ出そろってきており、比較的良好な結果が得られていると考えられる。 令和2年度は、結果をまとめ、論文として公表することを最優先する。また、状況が可能となれば学会発表で公表することも検討する。
|
Causes of Carryover |
年度内に十分な研究結果がまとまらず、論文投稿までが完了しなかったため論文校正費や論文投稿料等が繰り越しになった。 なお、補助事業を1年延長し、令和2年度で論文英語校正や論文投稿等を行い、最終予算を執行する予定である。
|
Research Products
(1 results)