2018 Fiscal Year Research-status Report
メディアと場面の相互連関に基づく英語定型表現の分析とインデックス化
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17K17943
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
土屋 智行 九州大学, 言語文化研究院, 助教 (80759366)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 定型表現 / 慣習化 / 言語習得 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、(a) 英語の言語データからの定型表現の抽出に関する手法の検討と実際の定型表現のリストアップの作業、(b) ディスコースマーカー(談話標識)と定型表現の関連性の探索、(c) 国内外の発達認知心理学、情報学およびロボティクス分野の研究者への定型表現およびその基盤となる人の認知能力に関する知見提供をおこなった。(a) については、具体的には、自然言語処理およびパターン・ラティスの手法を用いて、英語の書き言葉データおよび話しことばデータから定型表現の候補となる表現のリストを抽出した。抽出したリストの有効性についての検討や、文脈依存的、あるいは「その場限り」の定型表現の取扱をどのようにするか、研究者と意見交換をおこなった。意見交換をとおして、言語の慣習化についてのモデルの精緻化に関して研究者と新たな知見を見出すことができた。(b) については、文頭に出現する定型的な表現のリストを作成し、それらがディスコースマーカーとしての機能を有するか否かについて、研究者と意見交換をおこなった。(c) については、人工知能、ロボット、そして人間の言語習得について国内外の研究者と活発な議論をおこなった。定型表現という一見固定化したような言語表現の創造的な使用例の提示をとおして、人間の言語学習を定型的な記憶という側面から知見を提供した。その他にも、人の言語のアウトプットと瞳孔の状態との関連性を調査するためのツールの開発をおこなっている(継続中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの研究の進捗状況としては、定型表現のリストアップとその検討を前半、今後の研究を展開させる活動を後半に主におこった。データの収集作業については、2018年度で一定の目処をつけており、国際学会等での成果発表に向けた準備を進めている。また、2018年度後半の発展的な研究活動によって、2020年度以降の研究のさらなる発展が期待できるので、2018年度の研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題は、認知科学の知見に基づいた理論的枠組の策定を2017年度に、枠組みに基づいた言語データの分析と検討を2018年度におこなった。この2年間でいくつかの重要な知見が得られたので、それらの研究成果を国内外の学会で発表すると同時に、2020年度以降の研究に向けたロードマップの策定をおこないたい。
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Causes of Carryover |
開催された学会や研究会の開催地が福岡市内だったことが多かった関係上、予算を旅費で使用することがなく、結果的に2018年度の旅費の支出が予想以上に少なかった。
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