2019 Fiscal Year Research-status Report
メディアと場面の相互連関に基づく英語定型表現の分析とインデックス化
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17K17943
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
土屋 智行 九州大学, 言語文化研究院, 助教 (80759366)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 定型表現 / 構文 / ウェブコーパス / 引用表現 / 逸話的引用の談話機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題の今年度における研究実績としては、主に (a) コーパスデータに基づいたより客観的な構文の認定方法の模索、(b) インターネット上の引用表現の定型的な特徴とその談話的な機能の分析と考察が挙げられる。(a) については、jpTenTenコーパス(100億語規模のウェブアーカイブコーパス)やenTenTenコーパス(jpTenTenと同様の特徴を持つコーパス、150億語規模)からn-gramデータや動詞の生起環境に関する情報を網羅的に収集し、それらに対して複数のアプローチを試み、構文の客観的な週出方法を検討した。英語に関しては、5つの動詞(do, say, use, make, include)と共起する構成要素の特徴を整理することで、13の構文が存在することをより客観的な手法でもって指摘することができた。(b) については、先述のウェブアーカイブコーパスやSNS上の引用表現「~って○○が言ってた」「~によると」等を観察した結果、本来自分の主張であるものを、敢えて別の人物や発話状況によるもの(おばあちゃんが言っていた、マックで女子高生が言っていた、カール・レーフラーの論文によると、等)として逸話的に語ることで、その主張の強さや真面目さを調整する現象を確認した。今年度では、実際のSNSのやり取りの状況を網羅的に収集し、その定型性の高さを示し、その形式的・機能的特徴を分析しつつ、メンタルスペース、およびevidentiality(証拠性)、モダリティの観点から考察するという方針を固めることとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、実際の発話状況をデータとして収集・分析・考察するフェーズと考えていたが、協力者のスケジュールや発話状況の設定方法が複雑であり、年度内の実行が難しかった。さらに新型コロナウィルスの感染拡大により、協力者を一箇所に集めて収録をおこなうことで感染を拡大する危険性を避けるため、データの収集方法を大きく変更せざるを得ない状況となった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスによる感染拡大のため、人同士の直接の接触やコミュニケーションが阻まれている状況であるが、その代替方法としてのインターネット上の通話(電話通話、ビデオ通話、等)に研究対象を広げて分析をおこなうことを計画している。この方法はスケジュールの調整が比較的容易であることに加え、具体的な発話状況が設定しやすいことが利点として挙げられる。今後も直接の接触を避けるかたちで協力者を収集し、データの収集・観察・分析・考察をおこなう予定である。
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Causes of Carryover |
収録するデータの構成が複雑だったため、データ収録の協力者のスケジュールの調整がきわめて困難であった。それに加えて、新型コロナウィルスの感染拡大によって人が集まる収録が現実的ではなくなり、さらに学会等の出張もそれによってキャンセルとなったことが理由である。次年度では、人が直接対面しないインターネット上のコミュニケーション(音声通話、ビデオ通話)に焦点を絞り、データの収集・観察・分析をおこなっていく。
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