2021 Fiscal Year Annual Research Report
Cross-sectional Analyses and Extraction of English Formulaic Expressions Based on Media and Situation
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17K17943
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
土屋 智行 九州大学, 言語文化研究院, 准教授 (80759366)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 定型表現 / 構文文法 / 慣習的な表現 / スクランブリング |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、定型表現と極めて近いカテゴリーである慣習的な表現を中心に分析と考察をおこなった。研究代表者が収集した会話データを対象に、会話中に慣習的な表現がどのように分布しているのかを分析した。分析の結果、多様な慣習的表現が会話中に頻繁に出現していることを確認した。加えて、会話の開始時・終了時により多く出現する慣習的な表現を抽出することができた。会話の中盤は、文脈や状況の自由度が上がるため、発話状況の記述が必要であることを確認した。また、慣習的な表現が出現するまでが長い箇所を会話データから抽出し、その区間の会話の状況がどのようなものであるのかを分析した。分析の結果、慣習的な表現が出現していない区間は特に新規性の高いトピックを扱っているものではなく、より多角的な観察と分析が必要であることが分かった。 また、ソーシャルメディア上のコミュニケーションにおける定型表現とその拡張用法の分析をおこなった。分析では、定型表現の認識や理解にはその構成要素だけでなく、その語順も重要な役割を担っていることを示した。また、ソーシャルメディア上の定型表現の一部はパンチライン(話の「落ち」)としての用法がされるものがあるが、それがソーシャルメディア上に出現するのは、投稿者が自分の投稿の炎上や望まない議論を回避するコミュニケーション的な機能を有すると考察した。最後に、定型表現の語順がスクランブリングされている例を取り上げ、定型表現の語順スクランブリングを容認しうる状況について考察した。
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