2018 Fiscal Year Research-status Report
Reclassification of depression based on avoidant cognitive and behavioral patterns and development of therapeutic approach.
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17K17971
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
甲田 宗良 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50736189)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | うつ状態 / 感情気質 / 回避 / 抗うつ認知 / 抗うつ行動 / 活動的対処 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,うつ病臨床における研究成果と臨床現場の乖離を埋めるべく,うつ病の多様な病態を,「うつからの回避的な認知・行動パターン」によって分類・整理し,それらに応じた具体的,実践的な治療・対応指針を策定し,その効果検証や普及を行うことを目的としている。 H30年度は,うつ状態を経験した際の認知・行動的反応パターンの中でも,「抗うつ的認知および行動」に着目した調査を行った。うつ病患者(16名),双極性障害患者(9名),健常対照者(30名)に対して,個人特性(気質),うつ症状(重症度),そしてうつ症状に対する回避的な認知・行動反応パターン(Frequency of Anti-Depressive Behavior Inventory: FADBI)を測定する質問紙を配布し,回答を求めた。 その結果,うつ状態になった際,うつ病患者は「積極的な気晴らし」,「他者への開示」や「活動的対処」など,どのような対応も行わない傾向にあるが,双極性障害患者は「積極的な気晴らし」と「活動的対処」を行う程度が強いことが示された。その程度は,健常対照者よりも強いことが示された。以上の結果は,双極性障害患者が,うつに抗うために,うつ状態から能動的に注意を逸らしたり,積極的に活動水準を高めようと試みていることを反映している。双極性障害患者の場合,こうした対処が,躁的な認知や行動を喚起・促進している可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H30年度中に大規模調査(web調査)の開始を予定していたが,専門業者の選定や調整が難航し,実施準備に留まった。一方,予備的な調査ではあるが,うつ状態に対する回避的な認知・行動パターンを検討するための質問紙調査を,うつ病および双極性障害患者,健常対照者に対して実施した。これらの結果は,予備的な知見に留まるが,本調査(web調査)に先行する貴重な所見が得られた。 以上より,「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,web調査を用いた大規模調査研究を行い,一般成人および精神科受診患者における多様なうつ病,うつ状態の分類・再整理を試みる。具体的には,同じ症状(うつ状態)を呈していても,臨床背景や個人特性(気質)によって,うつ状態に対してどのような認知・行動反応パターンを示すのか,構造方程式モデリングを用いて,症状の悪化・改善のプロセスをモデル化する。 得られたモデルに基づき,臨床背景や個人特性に応じた治療・ケアのための指針(ガイドライン)を作成する予定である。その後の計画(患者および精神科医師を対象にインタビューを行い,ガイドラインの内容や有効性の観点から評価を行う)については,変更の可能性が高い。 研究代表者の所属機関の変更により,当初計画していたインタビュー調査に関するアクセスの低下が考えられる。協力を要請してきた旧所属機関の施設に出向く回数を勘案し,少数例のインタビュー調査・ガイドライン評価を行うことで対応したい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,当初予定していた大規模調査(web調査)の実施が遅れていることが原因である。そのため,この分は,次年度(2019年度)にweb調査を実施するために使用する予定である。
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Research Products
(5 results)