2018 Fiscal Year Research-status Report
The Genesis of Protestant Metaphysics
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17K18149
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
坂本 邦暢 明治大学, 文学部, 専任講師 (80778530)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 神学 / 哲学 / 形而上学 / プロテスタント / 原子論 / 科学史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も引き続き、17世紀初頭のプロテスタント神学の検討を行った。具体的には、コンラッド・ウォルスティウスの『神学的論考』の分析を行った。なかでも、神の無限性の問題について、ウォルスティウスがなにを述べているかを、彼の論敵であるマルティン・ベカヌスの著作の分析を通して、明らかにした。それにより、ウォルスティウスが、神は有限の量を備えると考えていたことが判明した。神の有限性・無限性の問題は、この後、デカルト、スピノザ、ホッブズの哲学との関係で議論の焦点となる。その出発点の一つは、ウォルスティウスの神学にあったと考えられる。 この研究の延長線上として、ウォルスティウスの学説が、17世紀初頭の原子論者であるダヴィッド・ゴルラエウスにいかに受容されたかを検討した。そこからは、ゴルラエウスが、ウォルスティウスの学説の一部を受け入れながらも、原子論とキリスト教の正統信仰と調和するように、改変を施していたことが分かってきた。たとえば、ゴルラエウスは神が場所を占めるということを主張するために、ウォルスティウスにならって、伝統的な場所の定義を変更した。しかし、神の量が有限であるという考えは受け入れなかった。むしろゴルラエウスは、原子論が想定する無限の空間に、無限の神は存在するとしたのであった。 以上の調査結果をまとめて、所属大学の紀要『Minerva』に発表するとともに、改訂英語版を現在準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
指摘な事情から、国外での調査研究を今年度はできなかった。また、ウォルスティウスの著作が複雑な構成をもち、また、その影響力が大きいこともあり、予定よりも長くその著作の分析に時間が取られているのが現状である。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに書いたが、ウォルスティウスの著作の重要性が研究を遂行するなかで見えてきた。別の史料に急いで向かうよりも、彼の著作をさらに深く検討する必要があると思われる。
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Research Products
(6 results)