2019 Fiscal Year Research-status Report
希望を育てる学校教育の検討―教師・子どもの評価行動に着目して
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17K18206
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
鳥越 ゆい子 帝京科学大学, 教育人間科学部, 講師 (60550267)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 希望 / 学級内の相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「いま、なぜ我が国の若者・子どもたちが希望を持てないのか」という問いに対し、教育社会学の立場から取り組み、子どもの希望を損なわずに育てる学校の教育方法について明らかにするよう試みることである。 そのために、令和1年度は、子どもの「希望(ホープ)」を育てることに成功しているEd Vision型プロジェクト・ベース学習を取り入れているアメリカの小中学校を実際に訪問し、その教育活動を観察した。 これにより、得た成果は次のとおりである。プロジェクト・ベース学習が成立している場合の背後には、教師―子ども、子ども同士の人間関係の構築や、学習への有用性や自己効力感を感じられるといったことが重要であることは、すでに先行研究で指摘されている。Ed Vision型プロジェクト・ベース学習では、こうした状況が学習プロセスの中で生じるよう設計されているが、実際にはこの学習方法を取り入れたからと言って、すぐに能動的に学習できる子どもは少ない。これについて、視察における観察データや、PBL研究所による過去の同校への視察報告書より、これらを生み出す学校内の環境要因を確認することができた。 実績の一部として、今回の視察の中で見ることができた、ある1小学校の、これらを生み出す仕掛けを紹介する。①異年齢でのクラス編成:子ども同士での教え合い活動の増加、教師の子どもへの見方が序列的視点から個別的に学習状況を確認する視点になる。②ひとりひとりが主役となる体験の定期開催、③毎朝、クラスの一員として「参加」するための準備活動の用意、④学校運営に関わる委員会活動、⑤学校外の人とつながる機会の提供の5つである。 今後、これについて、他校の様子も合わせて分析をすすめていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、現地訪問を達成し、有用なデータを得ることができた。 今後、データをていねいに読み込み分析するという作業は残されているが、おおむね順調であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
日本においてプロジェクト・ベース学習をおこなう学校への観察をおこないたい。また、今年度得られたデータや、昨年度おこなった、理論の整理、およびデータの再分析の知見をもとに、実際にプロジェクト・ベース学習を実施し、その効果を検討したい。 さらに、現状までの分析内容について、学会での口頭発表および学会誌への投稿をおこない、その妥当性についてにも検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は、おおむね計画通りに使用することができた。ただし、昨年度育休取得により、まったく使用できなかった分がそのままとなっている。 当初の計画より期間を延長することにより、次年度末には当初の計画通りの額の使用が見込まれる。
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