2017 Fiscal Year Research-status Report
場面緘黙児・者のセルフ・エフィカシーが治療への参加意欲に及ぼす影響
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17K18208
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Research Institution | Nagano University |
Principal Investigator |
高木 潤野 長野大学, 社会福祉学部, 准教授 (00588519)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 場面緘黙 / セルフエフィカシー / 心理教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
場面緘黙は話す力があるにも関わらず学校等で話せないことを主な症状とする。場面緘黙の治療については知見が蓄積されつつあるものの、本人が治療への参加に消極的だと改善が困難である。そこで本研究では「セルフ・エフィカシー(自己効力感:SE)」に着目した。SEとは「自分がその行動をどの程度うまくできるかの予期」であり、心理教育によって「自分の緘黙症状は治療によって改善させることができる」というSEを高めることができれば治療への参加を積極的にさせることができると考えた。このことから本研究では、場面緘黙当事者を対象にSEを高めるための心理教育を行いSEと治療への参加の積極性の関係を明らかにすることを目的とした。 2017年度の研究では、場面緘黙当事者への心理教育に用いる心理教育教材を作成し、10名の場面緘黙当事者を対象に心理教育及び個別の介入を開始した。心理教育教材は4つの章から構成した。Bandura (1977) は、SEを変化させる情報源として「言語的説得」「代理的経験」「情動的喚起」「遂行行動の達成」の4点を挙げていることから、各回がこの4点と対応した内容となっている。各セッションはそれぞれ60分程度で実施できる内容とした。治療プログラムは4回の心理教育及び事前・事後の計測を含む計6セッションで構成されている。心理教育は個別又は最大4名の小集団によって実施しており、1名についてはすでに4回の心理教育を終了した。 今後は6回の治療プログラム(心理教育及び個別の介入)を完了し心理教育の効果を検証するとともに、その後も介入を継続して場面緘黙の改善が見られるかを明らかにする。また作成した心理教育教材については印刷し、より多くのケースで利用できる形で公表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
心理教育教材の作成に半年程度を要した。研究協力者の確保は主として2017年12月に実施した場面緘黙啓発イベント「かんもくフォーラム」で行った。ここで応募のあった者から面接等を経て研究への参加の合意を取り治療プログラムを開始している。 治療プログラムは1ヶ月に1回程度実施の予定であったが、研究協力者の多くが平日の参加が困難であったことから、土日を中心に実施している。このため1ヶ月に1回の確保ができず、2017年度末の時点ではまた治療プログラムを実施している途中である。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り治療プログラムを実施し、結果を分析して効果を検証する。また今後はSNSや支援団体のネットワーク等を通じて研究協力者を再募集し、より多くのデータを取得する予定である。
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Causes of Carryover |
治療プログラムが経過途中であるため、研究協力者の交通費支出が当初2017年度中に予定した額より少なかったため。今後治療プログラムを継続し、交通費として支出する予定である。
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Research Products
(3 results)