2017 Fiscal Year Research-status Report
Exploring the novel sex-dependent factors in osteoblastic cells to clarify the mechanisms on developing the osteoporosis.
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17K18256
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
石田 昌義 近畿大学, 医学部, 助教 (50643251)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 性差 / 骨芽細胞 / 骨粗鬆症 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨粗鬆症は男性よりも閉経後の女性において発症頻度が高い。その理由は性ホルモンで説明がつくと考えられ女性ホルモン補充療法などが行われるが、その治療効果は限定的で必ずしも性ホルモンのみで説明がつかない。そこで、雌雄由来骨芽細胞の機能には性ホルモン以外の因子により制御されていると仮説を立て、その因子(遺伝子)を同定するため、以下のような実験を行った。 雄・雌のマウス新生仔の頭蓋骨より骨芽細胞分離培養を行い、全RNAを抽出し、そこから網羅的遺伝子発現解析を行った。遺伝子発現解析の結果、雌において雄よりも発現量が多い遺伝子として173遺伝子が見つかり、そのうち、ある種のセリンプロテアーゼインヒビター(ここではSERPINと略す)の発現量が特出して高かった。そこで、このSERPINの機能解析を骨芽細胞株MC3T3-E1細胞と雄雌マウス由来初代骨芽細胞を用いて、siRNAによる遺伝子発現抑制系と過剰発現系で骨芽細胞における骨芽細胞特異的遺伝子発現を検討した。さらに、間葉系幹細胞株ST2細胞にSERPINの過剰発現株を樹立し、BMP2による骨芽細胞初期分化におけるSERPINの機能、および、さらに石灰化の程度を検討した。結果としては、過剰発現により骨芽細胞マーカーの発現量を低下させ、石灰化を著明に抑制させたが、BMP2刺激による初期分化過程においては、著明な変化を認めなかった。 以上より、SERPINが雌の骨芽細胞に過剰に発現することが雌の骨芽細胞の機能低下に関与することが示唆された。SERPINの作用を阻害するような薬剤の開発により、閉経後骨粗鬆症の治療に役立つ可能性も考えられる。 次年度は、他にもいくつか同定した機能不明の因子について研究を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書の通り研究を進め、雌の骨芽細胞に発現量が多い遺伝子としてSERPINを同定した。論文報告を行う予定である。 活性型PAI-1添加により雌の骨芽細胞においてのみ誘導される骨芽細胞の形質を負に抑制させる新規なシグナル伝達因子の同定も進めており、雌由来骨芽細胞でPAI-1に対してこの因子の詳細な機能解析を同時に進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
SERPINについては、その阻害剤の探索を進め閉経後骨粗鬆症の治療や予防に用いることが可能かもしれないと考えている。 網羅的遺伝子発現解析により明らかにした雌の骨芽細胞に対して未知の因子の機能解析をも進め、それらの骨芽細胞の機能改善や破骨細胞の抑制などに関与していることを明らかにしていく。 活性型PAI-1添加により雌の骨芽細胞においてのみ誘導される骨芽細胞の形質を負に抑制させる新規なシグナル伝達因子の同定も進めており、雌由来骨芽細胞でPAI-1に対してこの因子の詳細な機能解析を同時に進める。
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Causes of Carryover |
計画通り執行してきたが、比較見積もりや安価でかつ性能が同等以上のものを選んできたので、次年度に使用額が生じた。次年度は、物品購入費用がかかると予想され、論文報告や学会報告なども予定しており、物品購入費や英文校正費用などに計画的に使用することを考えている。
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